自分と出会う時間

根本真里

みなさん、こんにちは!ベルリン自由大学に留学しています、ドイツ語学科二年の根本真里です。この記事を書いている二月上旬、ドイツの大学は絶賛期末週間です。迫り来る大学のテストと在外履修の最終試験に向けて、そろそろエンジンをかけなければと思っています。

さて、このブログをご覧になっている多くの方々は、受験生もしくは在外履修を控えたドイツ語学科生ではないかと思います。みなさんの中には留学に対して不安を抱えている方もいらっしゃるのではないでしょうか。そのような方々に向けて、少しでもこの文章が参考になればと思います。

多文化な街という、今思えば非常に安易なイメージに基づいて決めた留学先、ベルリンですが、現地で非常に濃密な日々を過ごしています。実際に街中を歩けば英語、アラビア語、トルコ語、そしてドイツ語などさまざまな言語を耳にします。さまざまな出自を持つ人々が暮らす街ゆえ、大抵の方は英語でコミュニケーションができます。留学生の中にはドイツ語を話さない生徒もおり、私も共同生活をしているフラットメイトとは英語で会話をしています。おかげで英語を話すことにも少し抵抗感がなくなりました。

さらにありがたいのは、アジアンフードが手に入りやすいことです。アジアンマーケットは街中にあり、アジアンレストランは軒を連ねるほどです。私は日本人の方が営んでいるラーメン屋さんでアルバイトをしているので、賄いにラーメンをいただいています。ベルリンに来るまでは、日本食をそれほど恋しく思うことはないだろうと高を括っていたのですが、なんだかしょっちゅう日本食について考えている気がします。

Tandem(タンデム)パートナーとベルリンにある日本食レストランに行きました。全ての料理が絶品でした…

また、ベルリンには文化や歴史を象徴する遺跡や建築物がそこかしこに在ります。もともと絵画鑑賞が好きなため、Museumsinsel(博物館島)をはじめとした美術館に気軽に足を運べる環境がありがたいです。また街を歩く度に、特に第二次世界大戦後から冷戦期のドイツの歩みに触れることができて、過去や現在に対する関心が高まりました。そこまで歴史が好きな方ではなかったのですが、関心が高めることができたのも、ベルリンのおかげです。

Alte Nationalgalerie (旧国立美術館)からの景色。

ベルリンに到着した翌日にMuseumsinselに架かる橋から撮った写真です。9,10月の天気の良い日に散歩するとより楽しいです

ベルリン自由大学の授業は必修のコミュニケーションの授業以外に、あらゆる学部の留学生を対象にした授業が開講されています。私はそれらの中で、ベルリンの文化施設の背景を知ることができる授業と、チェルノブイリおよび福島の原子力発電所の事故について文学から検討する授業を取りました。授業を取るためには、ある程度の語学力を習得済みであることが望ましかったようですが、決して達していなくとも、回を重ねる毎に言語に慣れていく体験や、授業を通して新たな知識を得ることができ楽しかったです。語学力を使って、何か他の科目を学習したい方に授業の履修をおすすめします。

クリスマスマーケットに行った時に私のTandemパートナーが撮ってくれました。(左の2人はTandemパートナー同士です)ベルリン自由大学には日本語学科があるため度々お世話になっています。

このように環境や人、機会に恵まれて思い描いていた以上の生活を送ることができています。ただもちろん、楽しい体験ばかりではありませんでした。

たとえば、ドイツにきて約1ヶ月でコロナにかかってしまったり、年末はインフルエンザをもらったためベッドの上で年を越しました。また、眠ることができなくなってしまう時期がありました。一時は日常生活にも影響が出て、気分が大分沈んでいました。原因は、おそらくカルチャーショックだったのではと考えています。私は生まれてからこれまで日本で過ごしてきたため、すっかり日本の文化に身を浸していました。周囲に合わせることに慣れているばかりに自分の気持ちや意見を自分自身で聞くことができていなかったように思います。ところが、こちらで出会う人は自分の意見を尊重し声に出して届けます。その姿を見る中で、これまでの生き方と重ね合わせたり、自身の気持ちを徐々に知ることができました。辛かった時期ではありましたが、気づきをもたらしてくれる大事な日々だったと今は認識しています。

留学は語学力を上げるためのものと思われる方もいるでしょう。それはもちろんですが、私にとっては自分と出会い、向き合う大切な機会でした。

貴重な時間をいただけたことに感謝して、残りの留学期間も自分なりに過ごしていけたらと思います!最後まで読んでくださりありがとうございました。