人生で最も学びに満ちた時間

渡辺有咲

はじめまして!ドイツ語学科4年の渡辺有咲と申します。

最後の留学生ブログ更新から約1年半が経とうとしていましたが、今こうして久しぶりにバトンを受け継ぐことができ、非常に嬉しく思っております。

私が在外履修を通じてドイツのザールラントで留学生活を送っていたのは2019年度の秋学期のことでした。今思い返せば、自身の大好きなドイツ語だけを使って生活することができたあの半年間は毎日が学びと成長の機会に溢れていて、本当に贅沢な時間だったのだなあと痛感させられます。書きたいことは山ほどあるのですが、今回は厳選して二つに絞って書かせていただきたいと思います。

①DSH(大学入学のためのドイツ語試験)合格に向けた学習

ドイツでの留学を迎えるにあたり、私は「自身のドイツ語力を飛躍的に向上させる」という確固とした目標を掲げており、その達成度を測る指標としてドイツの大学入学資格となるDSH(Deutsche Sprachprüfung für den Hochschulzugang)の合格を目指し日々の語学コースに臨んでいました。

ザールラント大学では非常に高いレベルの語学講座が提供されており、ドイツ語を鍛え抜きたいと考えていた自分にとって非常に恵まれた学習環境となっていました。私が受講していたクラスでは90分の授業が週に11コマ入っており、午前中は文法・聴解・ライティング・読解+スピーキングといったDSH試験対策用の授業、午後はIK(異文化理解)やUni Deutsch(ドイツの大学の仕組みを学ぶ授業)が設けられていました。どの授業もかなり充実度が高く、講師の先生方が親身に教えてくださったことが印象的でした。
また、それ以上に自身の学習意欲を掻き立ててくれたのがクラスメイトの存在でした。特に自分にとって重要だったのは、ドイツで正規の学生資格を得る必要がある人々とともにドイツ語を学んだということです。クラスは非常に多様な学生から構成されており、中国や韓国、ロシア、タジキスタン、イエメン、そしてシリアからの学生も多く在籍していました。彼らは単にドイツ語の向上を目的としているのではなく、大学入学資格を取得したその先にある将来をも見据えた上で日々の学習に励んでいるのでした。ドイツでの在住歴も長く、ドイツ語を話すことに何の抵抗もない彼らの姿を見て、自分もいつかそんなふうに意のままに他言語を扱えるようになれたらと強い憧れを抱くこともありました。文化の違いに戸惑うことも多々ありましたが、発言に対する積極性や、理解できなかったことを素直に相手にぶつけられる姿勢など、彼らから学んだことは数え切れないほどあります。私にとって常に新たな刺激をもたらしてくれたクラスメイトたちの存在がなければ、DSHの合格は果たせていなかったと思います。

DSHの合否発表の様子。壁に合格者の学籍番号が掲示されているのですが、自分の番号を見つけた時は飛び上がるほど大喜びしました。

②タンデムパートナーたちと過ごした時間

ザールラント大学に日本語学科は設けられていないのですが、当大学に勤務する日本人講師の方々のご厚意で大学の日本語コースに週に一回お手伝いとして参加させていただき、そこで多くのドイツ人学生とタンデム(母国語が異なる二人でペアを組み、互いの言語や文化を教え合うこと)を組むことができました。彼らとのタンデムはただ互いの言語を教えあうというような堅いものではなく、コーヒーを片手に互いの文化の違いについて話し合ったり、共通の趣味について話したり、日独の時事問題について意見を交わしたりもしました。中でも最も印象に残っているのが、ハノーファーの郊外にあるタンデムの実家でクリスマスを過ごさせてもらった経験です。ドイツでのクリスマスは日本でいうお正月のような感覚で、親戚の元を訪ね、たくさんの手作りケーキとともに近況を語り合い、プレゼントを交換し合う大切な時間だということを知りました。その温かな家族団欒のひとときに、遥か遠い地から来た一人の日本人を迎え入れてくれたことが心から嬉しくて、感謝の気持ちで胸がいっぱいになったことを今でも覚えています。タンデムのみんなと過ごした時間はどれもかけがえのないもので、互いに学び合い高め合うことのできる素晴らしい友人たちと出会えたことが、留学を通じて得た何よりの収穫です。

クリスマスで訪れたタンデムの親戚宅にて。滞在中の5日間で一生分のケーキを摂取しました。

タンデムとハノーファー観光に行った時の様子

当ブログが少しでも読者の皆様にとって有意義な情報となり、またドイツ留学への動機付けとなるようなものになっていれば幸いです。最後まで読んでいただきありがとうございました!