就職

  • 人々や生活の視点を大切にした外交を展開していきたい

    現在はどこで、どのようなお仕事をなさっていますか。 日本の外務公務員として、外務省本省で日本と北米を結ぶ経済情勢に携わっています。最近では、TPP交渉の参加に先立って多くの議論があり、話題に事欠かない部署です。 英語学科で学んでよかったと思うことは何ですか。 実に多くのことに感謝しています。英語の精確さaccuracy felicity を学べたこと。また、国際関係などの分野を二重専攻として選べたこと。学生の将来を気遣い、的確な教育を施してくださる先生方に恵まれたこと。上智全体として、他人に対して魅力的になるよう自分を高めることと同時に、周囲に手を差し伸べながら、それを自分の糧とすることなど、人生観なども非常に合っていた。現在でも初めてお会いする方に、良い師に支えられてきただろうことが想像できると言われます。 在学中に一番印象に残っている体験は何ですか。 卒論。論文を書き始めるにも自分の主張に疑念があり、なかなか仕上げられなかったところ、ロバート・ゲーツ米国防長官(当時)にお話を伺う機会を得ました。実に丁寧でバランスを持った回答を得られ、執筆を後押しする貴重な時間になりました。そしてここでの確信が、後述するウガンダでの経験と現在の仕事へ一筋の指針を与えてくれたように感じています。 なぜ、現在の職場を選んだのですか? 外交というチャンネルを通してこそ達成できる国際関係があると信じるからです。国際関係には多様な利害関係者がいますが、国家として対峙するからこそできる交渉がいまだにたくさんあります。それぞれの職員には、高い分析力、言語の運用能力、歴史などの広く鋭い教養、交渉に関係する人々を想う創造力が求められる、挑戦に満ちた職場です。これは、現場経験がなければできない仕事ですが、そこで得た洞察を広く社会に生かすには最適の職場と考えます。一方で、組織にこれまでなかった特徴を自分が持ち合わせるよう心がけ、多様性を取り入れることも大切だと思っています。 「英語」の必要性がますます高まっていますが、それについてどのように感じていますか? 必要性の高まりにも拘わらず、依然として日本では英語が異国の言語として捉えられていて、究極的な習得を阻害しているように感じます。英語に限らず、他の言語や文化に対する許容力や柔軟性は、もっと伸ばすべきです。言葉は理解の基礎であり、自分の言葉で発信し受信する感覚は、代え難いものです。しかし、英語がある程度できる人は社会にいますが、そのうちどれだけの人が英語を「武器」として使いこなせているでしょうか。英語学科であれば、その場にこそふさわしい英語を巧みに操ることにあざとくなることが大事だと考えます。同時に、英語が持つ世界観に呑みこまれないよう、他の言語を習うことも大切だと考えます。外国語を上達させるには、日本語もしっかりしたベースがなければならず、幅広い勉強が必要になるでしょう。 今後の夢をお聞かせください。 人々や生活の視点を大切にした外交を展開すること。様々な日本のよさが外国に伝わる努力をし、日本だからこそ手を結びたいと思わせるような国を創ること。 メッセージ 卒業後すぐに、JICAボランティア事業(青年海外協力隊)に参加しました。志望が通り、JICAのODA技術協力案件に参加する第一号隊員となり、ウガンダの農村で2年間コメを普及する任を得ました。 国際関係という学問の中で、安全保障と開発という分野が相容れない見方として存在していることが気になっていて、それを自分の感覚で確かめたかったのです(コメを安全保障と開発が重なる点と捉えました)。 ウガンダでは、地域文化に浸かり、生活圏を共に作っていくという貴重な経験をしました。どんなに辺鄙な村でも国を代表する覚悟を持ち,一方でその場にふさわしい細かな工夫と地道な作業や議論を通して、一定の成果が上がったことが励みになりました。また、現地の方が日本の代表としての私を信じ、課題に共に取り組んでくれたことは現在の仕事を目指す原動力であり、毎日の糧となっています。<続きを読む>
  • 完璧な英語よりも、「グローバルイングリッシュ」の大切さ

    現在はどこで、どのようなお仕事をなさっていますか。 年に3回地球一周の船旅を企画する国際交流NGO、ピースボートで働いています。日本と、訪れる各国からの講師やエンターテイナーと一緒に洋上の平和・環境・文化プログラムを開催したり、寄港地で現地の人々と一緒に文化交流や検証ツアーを行います。 その中で、私の仕事は東アジアの平和構築をテーマにしていて、たとえば船が香港や台湾に船が寄港する際に事前に現地入りして1000人の参加者向けに現地プログラムを作る仕事、日本と韓国から参加者を250人ずつ乗せて、日韓合同でアジア一周のクルーズを出す企画、「武力紛争予防のためのグローバルパートナーシップ」という国連が呼びかけたNGO会議の東アジア支部のとりまとめなど多岐にわたっています。最近、一番熱を入れて取り組んでいるのが、ヒバクシャ100人を船にご招待し、世界中で証言をするという「ヒバクシャ地球一周証言の航海」プロジェクトです 。  英語学科で学んでよかったと思うことは何ですか。 卒業後も変わらずに語らえ、お互いの生き方を尊敬できる、素晴らしい友人に出会えたこと。また、私の場合は帰国子女やインタナショナルスクール卒業という経歴ではなかったので、英語学科での学びや出会いから、語学や知見、知識など広く奥深い世界の「初めの一歩」を踏み出すことができました。そして、今の仕事にめぐりあってからは、NGO業界や国連機関などで生き生きと働く英語学科卒業生にたくさんお会いします。とても嬉しく、心強く感じ、勇気をもらっています。 なぜ、現在の職場を選んだのですか? 国際交流の船旅ピースボートには、最初「日英の通訳ボランティア」として乗船しました。初めは、それ以前に務めていた外資系コンピューター会社との違いに驚くことばかりでしたが、次第に日本人として生まれた自分が英語を学ぶことで見えてきた、見たかった世界が地図の中ではなくて、まるで自分が地球儀の上にでも立っているような身近な感覚が現れてきました。先進国の生活しか知らない自分にとって初めて出会う、アフリカの貧困、ラテンアメリカの搾取されている先住民、生活苦であろうと思ったキューバの人々の楽しいサルサ、そして日本と長い歴史を共有する中国、韓国、台湾などのアジアの人々と思い。 世界から選りすぐりの素敵なゲストや留学生40~50人と一緒に世界18か国をめぐる3ヶ月間の船旅。地球の人々や空気を「五感をビンビン働かせながら」感じる経験であり勉強です。この体験を一人でも多くの人と共有したくて、今の仕事を続けています。 「英語」の必要性がますます高まっていますが、それについてどのように感じていますか? 今もこれからも「英語」の必要性はどんどん高まると思います。その意味で、英語学科で学ばせて頂けたことは大変有意義なことでした。 英語を母国語としない者として完璧な英語を目指すよりも、言わんとする意見を持ち、それを世界の多くの人に伝え議論するための「グローバルイングリッシュ」であることの方が大切であると、日々痛感しています。まずは自分が一人の人間として何を考え、何をして生きていくのか、それを日本語でも英語でも自由に表現できれば、目の前の世界はもっともっと広がると思います。 今後の夢をお聞かせください。 日本でテレビや新聞に登場するニュースからは、世界がどれだけ素晴らしい場所であるかということよりも、世界にどれだけ問題があるかということばかり伝わってきます。地球には、まだまだ美しい場所がたくさんあり、美しい人がたくさんいます。二児の母となった今、素晴らしい地球を子どもたちと一緒にみつめ、どうやったらそれを生かせる社会を作れるかを考えていきたいと思います。「21世紀になっても紛争も貧困もなくならない」という悲惨さだけを伝えるのではなく、実は世界の軍事費のほんの1割でも削減することができたら世界中の子どもたちが学校に行けるようになる、核軍縮だって少しずつ進んでいる・・・というようなことを一緒に学んで、じゃあ自分たちはどう動いたらいいかを一緒に考える大人でいたいと思います。こんな夢を抱きつつ、来年(2013年)には家族4人で地球一周の船旅に旅立つ予定です。  <続きを読む>
  • 英語学科の授業は本物の英語を吸収するすばらしい学びの場

    現在はどこで、どのようなお仕事をなさっていますか。 東進ビジネススクール・東進ハイスクールで、企業人・大学生・中高生など、様々な人たちに英語を教える仕事をしています。また、英検やTOEICなどのテスト機関の皆さんとスピーキングテストを普及させる活動を積極的に行っています。また、様々なビジネス書・参考書の著述・企画をやっております。現在は、多読用の英文小説の執筆に力を入れています。すべての仕事を通じて、皆さんが、楽しく、実用的な英語を学ぶことをお手伝いできればと思っております。  英語学科で学んでよかったと思うことは何ですか。 すばらしい先生方や、友人に出会えたことです。また、周りが皆英語を勉強する環境だったので、常に勉強するプレッシャーがかかって良かったです。純ジャパ特有の帰国子女コンプレックスを克服できたのも、英語学科の環境があったからだと思っております。当時は、今のように簡単に英語教材が手に入る時代ではなかったので、英語学科の授業は本物の英語を吸収するすばらしい学びの場でした。 在学中に一番印象に残っている体験は何ですか。 様々な事情で長期留学ができなかったので、2年生の夏と3年生の夏に2ヶ月ずつ、バックパッカーとしてアメリカに旅行しました。たいへんな貧乏旅行だったのですが、アメリカという国を理解するには、数百冊の本に勝る、鮮烈な体験でした。学生の皆さんもぜひ、どんどん外国に出かけることをすすめます。また、3年生になる時の春に訪れた韓国での体験もすばらしいものでした。これらの体験は現在のキャリアに大いに役立っています。 なぜ、現在の職場を選んだのですか? 学生時代から、生活費を稼ぐために、学習塾で英語を教えていました。結局そのまま、教えることが楽しくて、アルバイトを続けて、今に至ります。 「英語」の必要性がますます高まっていますが、それについてどのように感じていますか? 20年間予備校で仕事をしてきて強く感じることは、大学受験を根本的に変えなければ、日本の英語教育は良くならないということです。このままでは、ますます進化するアジア諸国の英語教育に遅れをとり、日本の英語教育は完全にガラパゴス化します。少なくとも、英語の試験での日本語の使用をやめ、リスニングとリーディングの割合を1対1にするくらいの改革が急務だと思います。さらに、スピーキングテストやライティングテストもTOEFLやTOEICに習って導入すべきだと思います。  今後の夢をお聞かせください。 とりあえずは、今やっているTOEIC SW TESTSの日本での普及を成功させることです。韓国ではすでに25万人がこのテストを受験しています。日本ではわずか1万人です。これは企業の経営者の皆さんや官公庁・学校の皆さんが、テストの仕組みと波及効果をよく理解していないことに起因していると思います。皆さんを説得するために、様々な活動をしていきたいと思っています。もちろん現場での、音声を重視した実用的英語教育の普及にも尽力したいと思っています。最終的には、子供から大人まで実用的な英語が学べる仕組み作りに貢献できればと思っています。 メッセージ 上智大英語学科と英検から始まる、TEAPの試みは、日本の未来に大きく貢献するものだと思います。関係者でこれを応援し、全国に浸透させ、現在の大学入試に代えていくことが未来の英語教育を良くすると思います。ぜひ、皆で協力、応援しましょう。<続きを読む>