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メキシコ出張(その2)

 

 第2回日本・メキシコ学長サミットが行われたグアナフアト州は、近年、自動車・自動車部品産業を中心に、日本企業の投資が相次いでいます。第1回は3年前に東京で行われましたが、初めてのメキシコ開催となった今回、メイン会場がグアナフアト大学であったのは、これを機に、日本との関係を強化していきたいというメキシコ側の強いメッセージであるように思われました。
 もう1つ印象的だったのは、メキシコの多くの大学が理工系、特に工学を重視し始めてきていることでした。
 大学間交流に限らず、これまで日本とメキシコが交流しましょうという話になったとき、まず最初に思い描かれたのが「文化交流」でした。日本からは茶道や華道などの伝統文化、最近ではマンガやアニメといった、いわゆる「クール・ジャパン」、メキシコからは民族舞踊などが互いの国で紹介されたり、またサッカー少年団の交流試合などが行われたりといったところが記憶に残っています。
 しかし、今回のサミットのサブタイトルが「技術と革新(英語で言うならば”technology and innovation”)」であったことからも分かるように、技術系の人材育成がメキシコ側で大きな課題としてクローズアップされているのだなと感じられました。
 それとの対比でさらに面白いなと思ったのが、大学間あるいは企業が進出する中で、技術協力や技術移転が重要であることを前提とした上で、日本の複数の大学の代表者(本学の早下学長のスピーチもそうでしたが)からは、そのような技術協力・技術移転には、言語の違い、文化の違いを乗り越えようとする努力が必要だという見解が示されたことでした。ここでいう「文化」とは、上で述べた形のある伝統文化というよりは、より広く「人々のものの捉え方、考え方」と捉えるべきでしょう。円滑なコミュニケーションなしに、技術だけが伝わっていくということは、ちょっと考えにくいものがあります。
 上智大学には、理工学部に「グリーン・サイエンス」「グリーン・テクノロジー」という環境分野を重視した英語コースがすでにあります。外国語学部には、イスパニア語(スペイン語)を学び、メキシコを中心とするラテンアメリカ地域について研究している学生がたくさんいます。国際教養学部には、英語で日本研究を教えるコースもあります。このような特質を組み合わせていくと、上智大学が日墨関係の実りある発展に貢献できることは、かなりたくさんあるのではないかとの思いを強くしました。

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