1970年代の終わりから80年代のはじめにかけて、3年半フィリピンに留学し、ルソン島の農村部の町でカトリックの宗教生活に関する調査を行いました。フィリピンは19世紀の終わりまで長い間、スペインの東洋植民地であったため、現在でも国民の80%以上がカトリック教徒ですが、人々の日常の宗教生活を身近に観察してみると、スペインが持ちこんだカトリシズムが土地の精霊信仰と融合してできあがった独自の宗教世界があることがわかります。
ここ10年ほどは日本占領期(第二次大戦中に日本が占領した時期)のフィリピンにおけるキリスト教がどのような状態におかれていたかを明らかにするため、日本、フィリピン、米国その他で関係者の聞き取りと史料調査を進めており、近く一冊にまとめる予定です。最近は日本国内のとくにカトリック教会におけるエスニック・コミュニティ、つまり海外から日本に移住してきた人たちの宗教実践のありかたについて、フィールドワークを行っています。 |