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連続セミナー「人間の安全保障と平和構築」第1回

Posted on April 29, 2016

2016426日、上智大学グローバル教育センターが主催する連続セミナー「人間の安全保障と平和構築」の第一回目が、上智大学四ツ谷キャンパス2号館17階の国際会議場で開催されました。

 

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会場には180人をこえる参加者

 

 

この連続セミナーは、日本を代表する外交官、国連組織の代表、JICA幹部、NGOスタッフ、ジャーナリストを講師に迎え、学生と市民が共にグローバルな課題について議論を深め、方向性を探っていくことを目的にしています。

 

また、上智大学の学生は、全学共通科目「自主研究(グローバル課題研究)」を履修し、全てのセミナーに参加して、セミナーの内容も踏まえて自主研究レポートを提出することで単位の取得も可能という、グローバル教育センターの新たな試みにもなっています。

 

一回目は、本学の卒業生であり、NHK国際放送局チーフプロデューサー・NHK解説委員の道傳愛子氏に「現場で取材する、人間の安全保障と平和構築の課題」をテーマに講演していただきました。

 

 

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講演者 道傳愛子さん

 

 

はじめに藤村正之本学学務担当副学長が上智大学として、グローバル化時代への対応を、教育プログラムの重要課題にしていることや、そのために昨年、グローバル教育センターが全学組織になったことについて言及がありました。

 

そのうえで、この連続セミナーが、「人間の安全保障」の問題を含め、国境を超える課題について、学生と市民が共に考究するプラットフォームとしての役割を果たすことへの期待を述べました。

 

 

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冒頭挨拶 藤村正之 学務担当副学長

 

 

その後の講演で、道傳氏は人間の安全保障は日本外交の一つの柱として位置づけられていることに言及し、はたして現場では人間の安全保障が政策に反映されているものとして受け止められているのかどうか、問題提起されました

 

メディアで「人間の安全保障」がどう伝えられているのかの例として、道傳氏が独占インタビューを行った、ノーベル平和賞受賞者マララ・ユスフザイ氏についてのスペシャル番組と、先進国と発展途上国間の健康の格差是正に取り組むビル・ゲイツ氏を取材した「おはよう日本」のニュース企画の内容を、DVDを使って紹介されました。

 

 

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マララさんの番組も視聴しつつ解説

 

 

その上で道傳氏は「人間の安全保障」を題材としたメディア報道が少ないことを指摘し、その理由として考えられる点を三つあげています。

 

第一に、メディアは何もないところから伝えることはできず、人間の安全保障が政策の柱であるならば、実現に力を注ぐ政府、政治家、国際機関、NGO、市民社会、アカデミズムには意識的に戦略的に発信する工夫が求められていること、第二に、報道の現場では”Sound-bite”(短いフレーズ)が重用されがちで「人間の安全保障」のように多くの説明が必要な抽象的な用語がなじみにくいこと、第三に、政治部、社会部、経済部、国際部など、メデイアの中で組織が細分化されているため、平和構築、教育保障、貧困削減、基本的人権など、複数の領域にまたがる「人間の安全保障」の問題をあつかいにくいメディア組織の特性と限界などです。

 

道傳氏は、報道する側にも視聴者に伝える工夫が必要であるとし、マララ氏のドキュメンタリーを報道するとき、若い視聴者層を引き寄せるために朗読にアイドルを起用した経緯などを語りました。

 

そして「なぜ今、人間の安全保障なのか」という問いについて、とりわけ今年は2030年を達成期限とした「SDGs持続可能な開発のための目標」の開始年であり、国内格差、男女格差、貧富格差、健康格差の是正をめざして、インフラや法整備など、世界が持続的に力を合わせなくてはならない気づきがある中で、日本にも積極的な貢献が求められると主張しました。

 

また道傳氏は、平和構築や国際協力を考える際、政府や国際機関、NGOで勤務することだけでなく、企業に入っても、様々な活動ができることを強調されました。実際に、太陽電池を使ったLED照明器を発明した日本企業の製品が、電気のまだない途上国の人々に役に立っている例などもひきながら、企業として国際的に貢献できることがたくさんあることを強調されました。

 

そして「人間の安全保障」の取り組みの輪に連なることは、本学の教育精神”Men and Women for Others, with Others”に通じていると話をまとめられました。

 

 

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左 東大作准教授(司会) 

中央 道傳愛子さん (NHK国際報道局チーフプロデューサー・解説委員) 

右 植木安弘教授(コメンテーター)

 

 

コメンテーターの植木安弘本学総合グローバル学部教授は、紛争後の民主主義社会構築でメディアが担う重要な役割と、国家の安全保障と人間の安全保障が必ずしも一致しない場面での国際的な行動規範の必要性や、「人間の安全保障」への抵抗勢力との交渉の可能性を問題提起しました。

 

そのうえで、植木教授が実際に関わった、アフガニスタンやコンゴ民主共和国での公共放送作りの支援について語り、正確で公正な報道機関を育てることが、平和構築にとっても決定的に重要であることを強調しました。

 

 

講演後、参加者をふくめて質疑応答がなされました。

 

 

メディアは事実をどのように「正しく」報道するのか、報道機関内のジェンダー格差は是正されつつあるのか、情報化社会におけるメディアの多様性をどのように考えるか、そして難民問題に日本のメディアは無関心ではないか、という会場からの問いに対して、道傳氏は、報道人が意識をもって番組制作に取り組み、平時からコミュニティーの力を強化する試みが必要であること、ときに女性としての気概をもって発言することのほか、さまざまなメディアの利点を活用しながら情報発信を続けていく必要を話し、植木教授、東准教授もまじえて活発な議論が行われました。

 

 

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後半は参加者と活発な議論

 

 

会場には180人を超える参加者が詰めかけ、今後の連続セミナーへの期待の声もあがりました。

 

 

2016年度連続セミナー「人間の安全保障と平和構築」ラインナップ

 

 http://www.sophia.ac.jp/jpn/global/program/global_event

 

 

 

jpg【チラシ】人間の安全保障と平和構築

 

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