卒業生の声

邦楽演奏家としての歩み

2004年度卒業生 沖政一志(邦楽演奏家・生田流箏曲)
ライブハウスでの演奏中のワンショット

ライブハウスでの演奏中のワンショット

自身の近況報告としましては、大学を卒業後に邦楽の演奏家になるべく各種コンクールなどに挑戦し、洗足学園音楽大学現代邦楽研究所主催の東京邦楽コンクールの入賞、平成21年度宮城道雄記念コンクールの作曲部門入賞を果たしキャリアをスタートさせました。各種イベント等への出演、レコーディング、箏教室などをしておりまて、また、都立墨田川高校邦楽部のコーチもしております。自分の年齢の約半分の歳の子達に技術を教えるという大変ではありますが面白いですね。

自分が携わっているのは箏、三味線を扱う生田流箏曲、地歌というジャンルですが、簡単に説明すると、江戸時代に主に上方で発達した室内楽と思っていただけたらと思います。
補足として生田流から派生し、江戸(東京)に根付いたものが山田流ということになります。
現在の日本では明治維新以降の教育において西洋の音楽理論の上で発展したものを取り入れたため、音楽といえばドレミ…という音階名を用いて五線譜で考えるものが圧倒的主流になっております。ところが、自分達の音楽はそれらの西洋的な音楽概念が入る前からあったものですから、ズレがあるわけですね。また、面白いことに共通する部分もあります。日本語と英語にズレがあるのと同様ですね。自身が西洋史を専攻しながらも和楽器を扱うというのは、何か矛盾しているように思われるかもしれませんが、西洋音楽が生まれた文化的、歴史的な背景を知ることが日本の音楽との差異を感じる一助になると思っております。

和楽器の演奏会は年配者が多いイメージがあると思いますが、概ねその通りです。人は知らないものについては中々見向きをしないもので、ある程度知っているからこそ興味を持つ。教育の中で教わらないということはその点で不利な立場にあり、集客には苦労がつきまとうものです。

そこで、自身の活動として「ファミ箏」という各種TVゲーム音楽を和楽器で演奏する集団を立ち上げました。単純に自分がTVゲーム好きということもありますが、知っている曲が演奏されるというのは興味をひきます。また、TVゲームに限らずエンターテイメントには歴史的、文化的な要素があるもので、それらを感じさせるものの作成にも取り組んでおります。具体例を示しますと、「信長の野望」の楽曲を尺八の三重奏で演奏しました。織田信長は戦国時代の方ですので、ゲームの舞台に合わせ戦国時代に日本に存在していた楽器でリアレンジする、ということでね。

ファミ箏は年末12月28日に第三回演奏会を開催予定でおります。ご興味を持たれた方はぜひご来場ください、と、宣伝をさせていただき、近況報告の筆を置きたいと思います。

ファミ箏第二回演奏会の様子

ファミ箏第二回演奏会の様子

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