卒業生の声

まだなんとか

2012年度卒業生 波多野 陸(作家:2012年度群像新人賞受賞)
坊主頭にしました。

坊主頭にしました。

 上智大学を卒業してすでに一年以上経ってしまった、とはっきり言って焦りを感じる日々です。

 僕は卒業後間もなく小説で新人賞をもらい、それをいいことに今も自分のやりたいことを追及する日々を過ごしております。と言っても、現在執筆活動の方は絶賛不調中で(スランプとは言えません、なぜなら立ち上がれるかどうか不明だからです。スランプという言葉は現在進行中の事柄には決して使えません。立ち上がることのできた者のみが過去を振り返って使うことのできる「厳しい」言葉なのだと最近気づきました)、肉体労働チックなことをしてどうにか糊口を凌いでいます。自分があまりにも類型的な「夢を追う若者」になってしまったことと金をケチって坊主頭にしたことに思わず涙が出そうですが、泣いたって何にも変わらないのはみなさんご存知の通り。どうして僕はこんなに悲観的なのかと言えば、数か月前に、これが発表できたら人生もうどうだっていいや、という思い入れのあった小説がボツになったからです(だから、人生もうどうでもよいとは言えなくなったのですが、しかしその結果、人生に対して悲観的になったのは大いなる皮肉です)。ボツになった理由は、簡単に言うと内容から僕のそういう思い入れが感じられすぎたとでも言いましょうか、まぁ、何事もバランスが大事だという当たり前のことを改めて学んだわけです(ただ、学ばなくても知っていたので、できれば学びたくなかった)。

 とまぁ、こんな具合なので、焦り、焦り、けど肉体労働チックな仕事で疲れたから何にもやりたくないなぁ、という日々なのです。もちろん、僕が今こうなのは上智大学を卒業したこととは何にも関係がなく、ただ自分のした選択の結果なので、もし読んでくれている方がいるのなら、ご安心ください。と言うのは冗談として、夢=呪いに惑わされているような、あまり利口じゃない今の僕はまだマシなのだろうなと思います。本当にぞっとするのは、利口になることです。実をいうと、大学を卒業してからつい最近まで、色々と現実を知った気になっていた僕は、利口になりかけていた僕は、何にも興味がわかず、意欲がわかず、それはそれは最低な状態でした。もしかしたらこの一年は「バカ」に戻るために必要な期間だったのではないかとさえ思います。ある程度バカじゃないと、学ぶ気にも行動する気にもなれないようです。もっとも、バカに戻っただけなので、僕の創作活動が今後好転することを保証してくれるわけでもないのが。けれど、少なくとも、頑張る気にはなってきました。ONCE AGAIN!

 以上、近況報告でした。なんだか暗くて申し訳ありません!

鋸山山頂。登ってきました

鋸山山頂。登ってきました

上へ戻る