ロシア正教の復活祭をお祝いしました @プスコフ

ロシア語学科 3年
池田 多詠子

 こんにちは。サンクト・ペテルブルクに交換留学で来ている池田多詠子です。

 4月11-12日は1100年以上の歴史を持つ都市、Псков(プスコフ)へ行ってきました。 プスコフはペテルブルグからバスで4-5時間の所に位置する都市です。 今年はロシア正教の復活祭、Пасха(パースハ)が12日で、私のロシア人の友達のお母さんが自宅へ招待してくれたのがきっかけです。親子共にとても熱心な信者さんで、御ミサに私も一緒に参加させていただきました。

お家の食卓の上の小さな復活祭のための祭壇

お家の食卓の上の小さな復活祭のための祭壇

  11日土曜日、22:30頃、友達と一緒に近所にある彼らの行きつけの教会へ向かいました。質素で、小さな教会でした。中に入るとすでに多くの信者さんが集まっていて、みんなが復活祭のために準備してきたケーキやイースターエッグが大きなテーブルに所狭しと並んでいました。ちょうどその教会の司祭さま、輔祭さまが奥の方から来られ、留学出発前からメッセージのやり取りをさせていただいている輔祭さまは、よく来たねと笑顔できゅっと抱きしめてくださいました。ミサが始まるまで少しお話しをし、十字の切り方などを教えていただきました。-“ところでタエコ、いつ洗礼を受ける?(^^)” “え?!それはちょっと家族にも相談してみないと何とも言えません…(笑)”

  23:00、お祈りが始まりました。一定のメロディに乗って唱えられるお祈りと教会の2階から聞こえてくる聖歌が交互に重なり、それはもう大変美しかったです。全身で何か大きな力をビリビリと感じました。残念ながらお祈りでどんなことを言ってるのかは全く理解できず…(T_T) こんな意味かな?あんな意味かな?と考えを巡らせつつ、ひたすら友達を片目に見て同じタイミングで十字を切りながら、少しずつ襲ってくる睡魔をはねのけていました。

  おそらく24:00を過ぎたら頃からは、こんな言葉の掛け合いがお祈りの中で何度も登場しました。
“Христос воскресе!”(フリストース バスクレーセ!) =ハリストス復活!
“Воинстину воскресе!”(バイーンスティヌー バスクレーセ!) =実に復活!

  この掛け声のタイミングはすぐにコツを掴み、少し慣れてきたかな…と思いきや。午前2:00をまわる頃には極度の緊張状態、睡魔、立ちっぱなしからの疲労感、堂内の酸欠状態からくるめまいなどに耐えられず…(T_T)(T_T) それ以降お祈りが終わる午前4:00までは休憩のベンチと祭壇が見えるところを行き来しました。それでも何とか、最後の方のイースターエッグを手に持って輔祭さまの持つ十字架にキスをするのと、みんなでロウソクに火をともして教会の周りを一周するところまでやりきりました。何もかもが初めてで頭が混乱、体力的にもすごくキツかったですが、キリストの復活というのは全ての信者を勇気づける奇跡。神を信じ続ける人の心の強さを感じました。 12日の日曜の朝5:00頃には帰宅。少しご飯を食べて、昼までしっかり寝ました。

  (横浜ハリストス正教会の司祭をなさっている水野さんによると、“正教の復活祭の祈祷は普段の土曜日の夜に行っている晩祷と、日曜日の聖体礼儀を通して行っているのですごく長い” ということです。)

 12日、日曜日、夕方ごろから今度はプスコフのクレムリンの中にある聖堂に行ってお祈りをしてきました。外から見るとすごく背の高い聖堂です。(ちなみに、第一次大戦時プスコフの町はほとんど破壊されてしまいました。しかしこの聖堂には不思議なことに一つの爆弾も当たらなかった、という奇跡が起こった場所でもあります。) 中に入ると、正面奥には聖堂の床から天井まで続く大きなイコン画の壁が。どこか素朴な雰囲気を持ちながらも大変美しい聖堂内でした。

これが、奇跡の起こった聖堂!

これが、奇跡の起こった聖堂!

 ここで一つ、(同じく水野さんから教えていただいた)解説をはさみたいと思います。
 “正教会の聖職者は、使徒の後継者として一定の地域を統括する主教(エピスコプ)、主教の監督下で個々の教会を管轄する司祭(イエレイ)、主教や司祭の祈祷の補佐をする輔祭(ディアコン)の三種類があります。”

  解説の通り、主教さまというのはいくつかの都市をまわっているため、毎回同じ都市のミサにいらしているというわけではないようです。しかしなんと!今回はプスコフの聖堂にいらしていました。Нам повезло!(私たちラッキーだったね)と言いながら前日のことを踏まえて気を引き締めてお祈りに参加。そこまで長くなかったので最後まで正常な意識を保っていれました。

  お祈りが終わって、主教さまが聖堂から出て行かれるとき。出口に向かって絨毯が敷かれその脇に信者さんが集まります。私たちもそこに加わり、隣には何やら薄緑色の作業着のような服を着た男性が大きなリュックを抱えて控えていました。主教さまが近くまで歩いてこられた時、その男性は主教さまに話しかけました。

  “主教さま、少し私のお話しを聞いてくださいませんか。どうぞ、このイースターエッグを受け取ってください。私たちは今戦場で戦っています。どうか私たちのために祈ってはいただけませんか。”

  私は驚いてはっと頭を挙げたのですが、主教さまはゆっくりと振り向き卵を受け取ると、彼のために(そして多分卵にも)祈りを捧げて、そのまま卵を隣にいる私の友達の手の中へ!!目の前で起こった奇跡に友達と歓喜する一方で、すごく生々しいロシアを目の当たりにした瞬間でした。

  そのあとはお家に帰って卵の記念写真を撮り、みんなで主教さまの手から直接いただいた卵を分け合って食べました。

主教さまの手から直接いただいたイースターエッグ。一生の思い出です。

主教さまの手から直接いただいたイースターエッグ。一生の思い出です。

 この週末は本当になかなか貴重な経験をさせていただきましたが、いつかこのお祈りの内容を聞き取って理解できるようになるためにも、引き続き勉強に励みたいと思います。

左端が筆者

左端が筆者