学科長の挨拶

上智大学外国語学部
ロシア語学科
学科長 原 求作(はら・きゅうさく)
ロシア語学科 原先生

 ロシア語を勉強し始めて、もう四十年以上になりますが、いまでも、「なんでロシア語なの?」とよく訊かれます。これは、ロシア語学科の学生なら、誰でも一度は言われたことのあることだろうと思います。

 先日も、小学校の同窓会に出ていたら、「なんでロシア語をはじめたのだ」と面白がって三回も訊く奴がいました。四十年もたっているのに「なんで始めた」と訊かれた私は、だんだん腹が立ってきて、「忘れたよ」と大声を出し、場をしらけさせてしまいました。

 自分がなぜいまこういうことをしているか、ということについて、長々と理屈を並べる人もいますが、私はたいてい嘘だと思っています。アインシュタインでさえ、相対性理論を思いついたのは偶然だ、と言っているそうです。

 「命の力には、外的な偶然を内的な必然にする能力が備わっている」と、ある高名な批評家が素敵なことを言っています。最近のロシア語学科の学生のなかには、第一希望で入学してきたのではない人が多いのですが、私は、そんな学生たちが、やがてロシア語を自分の「必然」にできることを、心ひそかに願っています。