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研究コース紹介

ヨーロッパ研究コース紹介

ヨーロッパ研究へのいざない

 世間一般には、欧米文化、欧米社会といった言葉が頻繁に使われています。しかし、言うまでもなくアメリカとヨーロッパは異質なものです。ヨーロッパはアメリカと同様、さまざまな面で世界をリードし続けてきましたが、そのエネルギーの真の源は、域内の国々の強大な経済力や軍事力などではなく、ヨーロッパの多元性にあったと言えるのではないでしょうか。ヨーロッパが内包する多様な民族、宗教、言語は、豊かで奥深い文化的伝統を育んできましたが、その一方で、強大化した国が不条理に世界を支配したり、域内で民族や言語の違いを理由に争ったりしたことも幾度となくありました。しかし今日、ヨーロッパは域内における民族や言語や文化や宗教の違いを何とか乗り越え、国家という枠組みも超越して、多様性を保ちながら共生していくための道筋を模索しています。
 こうしたヨーロッパの現在、過去について学び、その未来について考えることは、それ自体、間違いなく知的な刺激と喜びに満ちた作業となるでしょう。それと同時に私たちは、アジアの中の日本に生きる者として、ヨーロッパの叡智と経験に多くを学ぶことができるはずです。というのも、日本を取り巻くアジアの状況について思いを馳せると、そこにはヨーロッパ以上に多様な民族、言語、文化、宗教が存在していて、その相克と和解には課題が山積しているからです。ヨーロッパを研究することは、私たち自身の未来を考えることでもあるのです。

ヨーロッパ研究コースの教育・研究上の理念

(1)ヨーロッパという地域の地理的、歴史的な成り立ちを正しく理解し、国境や国家といった枠組みに捉われない柔軟な発想と視点をもつこと。
(2)ヨーロッパ地域の宗教、社会、文化、政治、経済などを幅広く学び、教養を深めること。
(3)ヨーロッパ地域に関わる事柄について、確かな外国語運用能力に基づく的確な調査、分析、考察を行うこと。
(4)ヨーロッパ地域に対する包括的理解をもつと同時に、外からヨーロッパを眺めるという立ち位置を保ち、客観的、批判的な思考をもつこと。

ヨーロッパ研究コースのカリキュラム

 ヨーロッパ研究コースでは、ヨーロッパ地域について幅広い知識を身につけるとともに、各自の関心に応じ、(1)ヨーロッパ地域全体に関わる事柄、(2)ヨーロッパ地域内の特定の国あるいは地域(サブリージョン)に関わる事柄(3)ヨーロッパ地域内の特定の国や地域(サブリージョン)の間の関係、比較に関わる事柄、(4)EUないしはEUと構成国との関係に関わる事柄、を集中的に学び、研究することができます。どの学科に所属している学生であっても、その語圏に捉われることなく、常に「ヨーロッパ」という大きなフレームを意識しながら学際的に学び、考えていくことのできるカリキュラムを用意しています。

【導入科目】

 本研究コースを選択する学生にはまず、1年次から以下の「導入科目」を履修することが求められます。1つは、ヨーロッパ地域の研究にあたって最低限必要な理論的枠組みと研究手法の基礎を習得するための「ヨーロッパ地域研究入門」。もう1つは、過去のものであれ現在のものであれ、ヨーロッパ地域に関連する事柄を研究する際の出発点となるヨーロッパの歴史を概観する「ヨーロッパ史概論」です。これ以外にも、ヨーロッパの言語と社会、文化、芸術、政治、経済の基礎的知識を学ぶための「導入科目」が複数用意されています。

<科目例>
「ヨーロッパ地域研究入門」「ヨーロッパ史概論」「ヨーロッパの宗教・社会・文化」 「ヨーロッパの芸術」

【コア科目】

 「導入科目」を通して築いた研究のための基盤のうえに、さまざまな分野のより高度で専門的な知識を積み上げていくのが、2年次から履修する「コア科目」です。本研究コースでは、「歴史系」、「宗教・社会系」、「芸術系」、「政治・経済系」の4つの系列で合わせて120以上の科目が開講されており、扱う地域はイギリス、アイルランド、ドイツ、オーストリア、フランス、スペイン、ポルトガル、ロシアと広範です。特定の系列に絞って履修することも、複数の系列にまたがって履修することもできます。多彩で充実した科目群の中から自分の関心の在り方に従って履修していく中で、視野を広げると同時に、卒業論文につながる各自の研究テーマを絞り込んでいきます。

<科目例>(科目名が英語のものは、講義が英語で行われます)
「ドイツ近現代史」「フランス語圏の歴史研究」「British Society and Literature」 「ヨーロッパ政治経済論」「イベリア半島の言語と社会」「EUの現在と過去」

【演習科目】

 3、4年次で履修する「演習科目」では、教員から知識を得るという受動的な学習ではなく、各自が問題意識をもってテーマを設定し、それについての文献の収集と解読、実地調査などを行い、その結果に分析、考察を加えて、卒業論文にまとめていきます。所属する学科で培った言語の運用能力を駆使しつつ、研究コースでの研究をひとつの成果として結実させる、まさに大学生活の集大成の場です。ヨーロッパ研究コースで提供される「演習科目」は、「コア科目」と同様、「歴史系」、「宗教・社会系」、「芸術系」、「政治・経済系」の4つの系列からなり、6学科に所属する20人以上の教員が担当しています。

<科目例>
「演習(ドイツ政治)」「演習(フランス宗教学)」「演習(スペイン美術)」 「演習(ポップカルチャー)」

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