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ポルトガル語を学ぼうとする皆さんへ  ――ポルトガル語を学ぶ理由は何か?

上智大学外国語学部
ポルトガル語学科
子安 昭子
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 中学、高校と英語を学んできた皆さんが、大学で英語ではない言語を学ぼうと考えるとき、ポルトガル語という存在はさほど大きくないかもしれません。でも実際ポルトガル語を母語とする人口は約2億3000万人、広東語、スペイン語、英語、ヒンディー語、アラビア語に次ぐ世界第6位となっています。ポルトガル語の話者人口は、アメリカ大陸(ブラジル)、ヨーロッパ大陸(ポルトガル)、アフリカ大陸(モザンビークやアンゴラなど)を中心に広がっており、加えて、昨今では21世紀最初の独立国家東ティモールも公用語はポルトガル語です。実はアジア大陸にもポルトガル語圏世界が存在するのです。そして何よりも忘れてならないのは、日本もまたポルトガル語圏の一つということです。ブラジルが世界最大の日系人社会の国であることはいうまでもありませんが、90年代以降多くの日系ブラジル人が就労を目的に日本を訪れ、その数は一時期30万人を超えていました(2015年現在では約17万人)。今現在、愛知や静岡、群馬などいくつかの県を中心に日系ブラジルの人々が数多く暮らしています。こう考えると、しばしばいわれる「ポルトガル語イコールマイナー言語」というのは必ずしも正しくないといえるでしょう。
 
 上智大学外国語学部ポルトガル語学科は1964年に開設されました。2014年には創設50周年を迎え、送り出した卒業生は21世紀に入った今日、2000人を超えています。ポルトガル語を生かした仕事につく学科卒業生も多く、その分野は企業、官庁、NGOなど、多岐にわたっています。またブラジルやポルトガルなどで働く学科OBやOGが、現地で留学中の現役学生と交流するといったこともしばしば聞かれます。彼らにとってポルトガル語を学ぶ自分の将来を、先輩たちの姿を通して考える良き機会となっているようです。

 ひとつの語学を学ぶということは、単に言語を習得することにとどまりません。その言葉が使われている国の人や社会に関する知識を深めること、すなわち地域研究という分野が大切です。そのことがまたさらに高い語学の運用能力を身に着けることにつながるからです。上智のポルトガル語学科の特徴はこうした語学プラス地域研究を行うことにあります。我々はこのことを「語学と地域研究の両輪」と呼んでいます。上智大学の外国学部の歴史の中で、ポルトガル語学科が作られたのは現6学科の一番最後でしたが、開設当初から目指してきた語学とともに地域研究に重点を置くという学科の方針は、外国語学部においてパイオニア的な存在です。ポルトガル語学科には、ポルトガル語をじっくり学び、かつポルトガル語圏という未知の世界について多方面から研究するための授業が多数用意されています。

 世界はますますグローバル化が進み、世界で起きていることが日本に瞬時に報道され、またその影響を直接的かつ間接的に受ける時代がまさに今です。日本以外の国や地域について知ることは翻って自分や日本について考えることでもあります。そうした現代世界を知るひとつとして、日本とつながりが深い国が多いポルトガル語圏について学んでみませんか?