VOL.2
1988年卒業
時田安幸さん

イスパニア語学科 … 挑戦の原点

 

自分は大学を卒業して四半世紀になりますが、イスパニア語を殆ど使用することなく社会人生活を過ごしてきました。冒頭でこのように言い切ると、皆様の中にはネガティブな感覚を覚える人もいるかも。もちろんイスパニア語学科には学んだことを生業にするための土壌があり、その道を目指す人は自身の努力で切り開いていけるので安心して下さい。

一方で自分のように企業に就職した者の多くは、その企業が要求することを新たに学び、経験し、糧とします。そうやってキャリアを形成するうちに、大学で学んだ学問から縁遠くなっていきます。時折振り返っては寂しい気持ちを覚えることもありますが、自分は、将来を描きそこへ進む過程でそうなることを必然と考え、消化してきました。

では大学生活は無駄であったのか、という問いに答えなければなりません。自分が大学で学んだもの、というより体得したものは、未知なる領域に踏み込むことへの免疫だったように思います。受験段階ではその後に学ぶ対象としてイスパニア語(それ自体も未知)そのものしかイメージがなかったのに、四年間でそれはスペイン及び中南米の多様な文化にまで広がりました。「学問は小説に劣らず興味深し」という好奇心を抱かせ、学ぶ際に欠かせないのが「想像力」なのだということを教えてくれたのが、大学生活であり、イスパニア語学科でした。

自分は二度の転職で、金融→自動車→電子部品と業界を渡り、そのまま現在の会社で経営に携わることに。私生活では子育ての難度が日々上昇基調にあります。今後もこれまでも変わることなく、学ぶこと即ち未知の領域への挑戦を続けることで周囲と自分自身を納得させられる生活を送りたい、と考えています。