特色と目的(Q&A)

名称について

なぜ、上智大学では「イスパニア語」と呼ぶのですか?

上智大学で「イスパニア語」と呼んでいるのは、いわゆる「スペイン語」のことです。日本では外国の地名を英語読みすることがありますが、それぞれの地域の人々は自分たちの土地を自分たちの言葉で言い表しています。スペインの人々は自分たちの国をEspaña(エスパーニャ)と呼んでいますが、その語源はイベリア半島をさすHispania(ヒスパニアまたはイスパニア)というラテン語でした。そのため、英語読みではなく、この由緒あるラテン語起源の名称を用いているのです。なお、学科の正式名称はイスパニア語学科ですが、日常的には「イスパ」の愛称で親しまれています。

「イスパニア語」と「スペイン語」は同じものですか?

はい。「イスパニア語」は、日本で一般的にスペイン語と呼ばれている言語のことです。かつてはスペインまたはイスパニアに西班牙という漢字をあてていたため、「西語」と略すこともあります。また、スペインのカスティーリャ地方で話されていた言葉が元になっているため、「カスティーリャ語」という名称で呼ばれることもあります。
なお、イスパニア語はイスパニア語圏(スペイン、中南米の大部分)で使われる巨大言語だと言われますが、そこで暮らす人々はイスパニア語だけを話しているわけではありません。少なくない人々が、イスパニア語に加えて、自分の地域や民族独自の言語を併用するバイリンガルとして暮らしています。たとえばスペイン第二の都市バルセロナを旅する時、イスパニア語だけで十分にコミュニケーションがとれますが、街の人たち同士の会話はこの地域独自のカタルーニャ語で交わされていることに気づくでしょう。また、中南米の多くの国では、先住民の言語が今でも用いられています。イスパで学ぶ皆さんには、イスパニア語圏が多言語社会でもあることを理解し、その豊かな個性を楽しんで欲しいと思います。

イスパニア語学科での勉強について

イスパニア語に触れた経験がなくても大丈夫ですか?

はい、イスパニア語学科では、イスパニア語をゼロから学ぶことを前提にカリキュラムを組み立てており、実際ほとんどの入学生がイスパニア語初心者です。一斉にスタートを切って学習を始め、語学学習のつらい局面を共に乗り越え、しだいにイスパニア語で伝えられることが増えていく喜びを共に感じながら、切磋琢磨して成長していきます。もちろん、入学前に少しでもイスパニア語の勉強を進めておけば、気持ちに余裕を持って学科でのイスパニア語学習に臨むことができるでしょう。
高校などで学習をしたことがあったり、イスパニア語圏での滞在経験があったりするイスパニア語既習者は、本人が希望する場合、事前の面談によるレベルチェックで認められれば、イスパニア語科目のうちネイティブ教員の担当する会話のクラスで実際の学年より上のレベルを受講することができます。なお、イスパニア語学科に入学する既習者は、イスパニア語をきちんと学び直すという心構えを持っているものと想定しているので、文法、講読のクラスでは、既習者も学年通り一から受講し、不十分な文法知識や語彙などを補っていくことになっています。

イスパニア語の授業はどのように行われますか?

大学生になってから新しい言語をゼロから学ぶということは、幼い子供が言葉を自然に覚えるようにはいきません。また、イスパニア語が普段話されていない日本という環境で、かつ限られた時間内での学習になるため、さまざまな制約が存在することは否めません。一方で、大人になってからの語学学習では、これまでの学習経験を活用することができますし、そもそもその言語を身につけたいという動機をばねにできます。したがって、制約を軽減したり克服したりすることは可能です。
イスパニア語学科でのイスパニア語の学習は、このような実情を踏まえて行われます。日本にいるという制約を少しでも軽減するため、ネイティブ教員の授業はほぼイスパニア語のみで行われ、最初の段階から耳と口をイスパニア語に慣らす練習が中心となります。一方、文法については、限られた授業数では、明示的に学んで基礎をまず固めるほうが効率的で結局はのちのちの能力の伸びにつながります。そのため、原則的には日本人教員による日本語でのきめ細かい説明を通して学び、断片的な知識をばらばらに頭に入れるのではなく、イスパニア語文法の体系的な知識を得ることを目指したプログラムになっています。もちろん、こうして学んだ文法知識も使えないと意味がないものですから、すべての授業において、イスパニア語で「聞く」「話す」「書く」「読む」ことを常に意識した実践的な練習を積み重ねていきます。
4年間を通して見ると、1・2年次で基礎的なイスパニア語の運用能力を身につけることを目指して徹底した訓練を行い、3・4年次では、それまでに身につけた基礎力の定着とレベルアップを図ります。この段階では、技能別に開講されている科目から、各自の伸ばしたい能力(たとえば読解、口頭表現、作文など)に合ったものを選択した学習となります。

イスパニア語の授業の準備はどのくらい必要ですか?

イスパニア語学科は伝統的に「鬼のイスパ」と呼ばれていますが、決して不条理な厳しさではありません。上の項目でも述べたように、大人になってから外国語を「ものにする」のはたやすいことではありません。目安としては、大学の最初の2年間で、中学・高校の6年間で到達した英語のレベル相当のものを身につけることを目標としており、1・2年次では、週6コマ(1コマ90分授業)、つまり、1日1コマのイスパニア語科目、2コマの日も1日あるというスケジュールです。したがって、平日は予習と復習に追われ、週末も足りない分を補ったりするために勉強する毎日になります。3・4年次になると、自分のペースに合わせてイスパニア語科目を選択できるようになるので、少し時間的な余裕はできるかもしれませんが、より高度なイスパニア語能力が求められます。 厳しいようですが、がんばればがんばっただけ成果として表れますので、ぜひ怯まずに挑戦してください。

高校までの英語の授業と同じですか?違うものですか?

高校までの英語の授業は学校によってかなり異なると思われるので一概には言えませんが、イスパニア語学科でのイスパニア語の授業は、そのイスパニア語を使って自分の研究ができるようになることを前提としているという点に特徴があります。つまり、イスパニア語の習得そのものが目的なのではなく、あくまでも手段であるということです。もちろん、イスパニア語という外国語の学習を通して、他の文化を知り、物事を相対化する能力を身に付けてより人間として広く深く成長するということも期待されています。

語学学校とはどのような違いがありますか?

語学学校にも学校ごとの特色があると思われますが、一般的には、イスパニア語の運用能力の獲得が主たる目的となっているのに対して、大学での専攻として存在するイスパニア語学科では、それに加えて、イスパニア語が話されている地域に関する基礎知識を常識として身につける(「イスパニア語圏のジェネラリスト」になる)こと、さらに、自分の研究分野についての深い知識を得る(「~についてのスペシャリストになる」)ことを目指します。

イスパニア語以外にどのような授業がありますか?

イスパニア語学科に入学した学生は、専攻外国語として学ぶイスパニア語の授業のほかには、「イスパニア語圏基礎科目」と呼んでいる一連の科目を履修します。スペインとイスパノアメリカ(イスパニア語を用いている中南米諸国)の歴史や文学、その他の基礎知識を得るための科目群で、1・2年次に開講されています。イスパニア語を育んできた地域についての知識を伴ってはじめて、表面的ではない本当のイスパニア語能力が得られます。以上が「第一主専攻」の科目となります。
これに加えて、外国語学部の学生は「第二主専攻」として各自が選択した「研究コース」において系統的な学習と研究を行うことになります。「研究コース」は全部で9つありますが、それらのコースでは、歴史、社会、芸術、経済、政治、言語学などの観点からイスパニア語やイスパニア語圏について学ぶことのできる科目が開講されています。
入学当初には必ずしも関心の対象が具体的に定まっていない場合もあります。そんな時も、各「研究コース」では、一年次生も履修できるバラエティ豊かな導入科目が提供されているので、それらを通して自分の関心の対象を絞っていくことができます。
その他、入学した学科を問わず、上智大生が履修すべき「全学共通科目」という科目群もあります。

「ことばと地域研究」とよく聞きますが、「地域研究」とは何ですか?

地域研究とは、ある地域の社会、経済、政治、文化、歴史などを学び、フィールドとする地域をさまざまな角度から理解することです。イスパニア語学科生の場合は、イスパニア語圏がその対象となります。そのために必要不可欠となるのがイスパニア語です。イスパニア語を使って情報を集め、学術的な文献を読みこなす能力が必要になります。
言語習得そのものと並んで地域研究を重視するのは、この二つが実際には切り離すことができないものだからです。たとえば、日本語の文法や表現方法を勉強しただけでは、日本語で書かれた新聞の内容を理解することは難しいでしょう。ニュースの背景についての知識があって初めて、何が、なぜ問題になっているのかを理解でき、どのようにその問題と向きあうべきかを考えられるからです。イスパニア語でも同じです。イスパニア語で書かれた・話された情報を理解し、それにもとづいて私たち自身の考えを表明するためには、イスパニア語圏に関する深く、幅広い知識が求められます。そのために、イスパニア語圏のさまざまな側面を学ぶための科目(「イスパニア語圏基礎科目」)を用意し、地域研究を柱の一つに位置づけています。
別の項目でも述べたように、外国語学部の学生は「研究コース」を選択して自らの学習を進めていきます。イスパニア語学科生の多くは「ラテンアメリカ研究コ-ス」や「ヨーロッパ研究コース」を選択し、イスパノアメリカやスペインを主なフィールドとして、自分の決めたテーマに沿った研究を進めていくことになりますが、必ずしも地域をイスパニア語圏に限る必要もありません。きちんとした問題意識と柔軟な発想で夢中になれる「地域」を見つけてください。
なお、上智大学には「ヨーロッパ研究所」、「イベロアメリカ研究所」という研究所があり、対外的にも地域研究に大きな貢献をしています。イスパニア語学科の教員の多くがその活動に関わっていますが、学科生も、研究所の充実した所蔵図書や頻繁に開催される講演会などをおおいに活用することができます。

<参考URL>
ヨーロッパ研究所 http://www.info.sophia.ac.jp/ei/index.html
イベロアメリカ研究所 http://www.info.sophia.ac.jp/ibero/

イスパニア語学科の学生の標準的な時間割はどのようなものですか?

90分授業1回を1コマと数えます。「第一主専攻」の科目として、1年次と2年次では、「基礎イスパニア語」が春学期、秋学期ともそれぞれ週6コマ入り、それに「イスパニア語圏基礎科目」が春学期と秋学期に1コマずつ加わります。3年次と4年次には「総合イスパニア語」があり、2年間4学期で最低8コマ分履修します。
「第二主専攻」では、できるだけ早い時期に、導入科目として3コマ分を履修し、研究コースの基礎を固めます。その上に積み上げるコア科目として2年次~4年次で合計10コマ分を履修します。3年次、4年次では卒業論文・卒業研究の指導教員を決め、その教員が担当する演習科目(いわゆる「ゼミ」)を最低2コマ分(できれば4コマ分)履修します。
以上の科目に、全学共通科目最低13コマ分と語学科目4コマ分が加わったものを、各学期の時間割に配分していくことになります。どのようなペースで履修していくかによって変わってきますが、1・2年次で週12コマ前後、3・4年次で週9コマ前後が一般的なようです。
以下に一例として、2012年度秋学期のある1年生の実際の時間割を挙げます(「研究コース」導入以前のもののため、現在のカリキュラムとは異なります)。

 
1 基礎イスパニア語 基礎イスパニア語 基礎イスパニア語 中東イスラム史入門 基礎イスパニア語
2   英語 文化人類学   イスパニア語圏研究入門
3     西米概史 基礎イスパニア語 英語
4 キリスト教人間学 外国研究と地理学      
5   言語と人間      

イスパニア語学科を卒業すると、どの程度のイスパニア語能力が身につきますか?

常に個人差があることは否めませんが、カリキュラムにおける学習時間数から想定できる到達レベルは、言語運用能力の指針の一つとして主にヨーロッパで用いられている「ヨーロッパ言語共通参照枠」にあてはめてみると、1年次終了時でA2レベル、2年次終了時でB1レベル、4年次終了時でB2レベルと見なすことができ、使用する教材もそれらのレベルに準拠したものとなっています。ちなみに、「ヨーロッパ言語共通参照枠」では、A1、A2,B1,B2,C1,C2の6レベルが設定されており、イスパニア語の世界共通の能力試験であるDELE(外国語としてのスペイン語検定試験 スペイン文部省認定証)でもこのレベル分けがされています。大学に入ってゼロからイスパニア語の学習を開始し1年間の留学を経験した学生で、在学中にC1に合格したようなケースも見られます。また、イスパニア語学科で身につけたベースを生かせば、卒業後も各自で能力を伸ばしていくことができますし、まさにそのベース作りを学科では重視しています。

留学について

留学はどのように行うのですか?どこに留学できますか?

まずは大きく分けて長期留学と短期留学があります。長期留学の場合、①交換協定を締結している協定校に留学する「交換留学」と、②自分で行き先を決められる「一般留学」、③大学の休学制度を利用していく「休学留学」があります。①と②では、留学期間も上智大学での修業年限に算入されるので、4年での卒業が可能です。また、留学先で修得した単位を上智大学で換算することもできます。③の場合には、留学期間を卒業年限に算入できないため、4年での卒業はできず、単位換算もできません。
①の場合、イスパニア語圏の協定校は、現在、スペインに6大学、メキシコに4大学、コロンビアに1大学、アルゼンチンに2大学、チリに1大学の合計14大学あります。行き先によって留学時期は春学期出発か秋学期出発で、1年間または1学期間の留学が可能です。年ごとに先方との調整により受け入れ枠が決まり、応募者を選抜します。応募するためには、成績の条件や協定校の定めた語学要件などがあるので、交換留学を目指す場合にはできるだけ早い時期からの準備が必要です。授業料は上智大学のみに納め、手続きは大学の国際連携室を通して行います。2年次以降の出発となり、協定校によって留学できる年次が決まっています。
②の場合、留学先は、学位授与権のある大学で、事前にイスパニア語学科長の許可が得られれば、自由に選ぶことができます。1学期から2年間までの留学が可能で、単位換算もできますが、授業料を上智大学と留学先の両方に納める必要があり、手続きは個人で行います。
休学制度を利用する③の場合、その間の上智大学での授業料は減額になりますが、留学先での授業料等はすべて個人負担となります。留学先の制限はなく、留学内容も自由です。
短期留学では、現時点では、イスパニア語学科生が単位を得られるような制度はなく、個人レベルでの語学研修に限られています。
詳しくは、「留学制度」のページをご覧ください。

留学はしなければいけない義務ですか?留学しない学生は不利になりますか?

義務ではありません。近年ではインターネットの普及のおかげで、工夫と努力しだいで日本にいてもイスパニア語圏の生の情報に触れられる環境が整っています。したがって、イスパニア語運用能力に関しては、熱意さえあれば、大学での授業を中心に積極的な学習を行えば、留学をしなくても、ある程度のレベルにまでは到達できます。
一方で、留学してイスパニア語で生活する環境で過ごすことは、語学力の向上のためにはもちろんのこと、人としてかけがえのない経験になります。もし機会があるようであれば、積極的に活用するに越したことはないでしょう。
ただし、留学したからといって、毎日を漫然と過ごしていては、語学能力の進歩も人間としての成長も期待できません。留学をするにせよしないにせよ、得られる成果は、それまでの準備も含め、結局は本人の姿勢しだいだと言えます。

留学をすると就職に影響(有利・不利)がありますか?

留学経験が就職に有利になるか不利になるかは、結局本人がその留学で何を得て何を学んだか、そしてそれを先方が評価してくれる形できちんと伝えられるかによると思われます。一般的には留学によって語学力が伸びますが、すぐに仕事で使えるほどのレベルになるかと言うと、話はそう簡単ではありません。語学力以外にも、留学によって、自分を見直すことができたり、視野が広がったり、コミュニケーション能力が向上したりという成果を得ることができれば、それをアピールすることができるでしょう。
なお、留学によって卒業が伸びて就職に影響が出ることを心配する声がよく聞かれますが、データ上は特に不利にはなってはいないようです。ちゃんとした目的意識をもってした留学であれば、その分の時間はプラスにこそなれ、決してマイナスになることはないはずです。

進路について

イスパニア語学科を卒業した後、どのような進路がありますか?

イスパニア語学科の卒業生の多くは一般企業に就職します。業種は金融、保険、商社、製造、卸売、運輸、情報通信など様々です。具体的な就職内定状況については、本学のキャリアセンターのホームページに情報が掲載されていますので、そちらを参照してください(http://www.sophia.ac.jp/jpn/studentlife/career/career/tokei)。この他、国家・地方公務員や教員になる人、青年海外協力隊やNGOの活動に参加して海外で活躍する人などもいます。また、毎年若干数は大学院に進学しています。

イスパニア語を使う職業に就けますか?

イスパニア語能力が活かせる職業としては、翻訳者、通訳者といった専門職、イスパニア語を教えている高校の教職などがあります。またイスパニア語圏の国々とビジネスを行っている企業が多いので、就職先の企業でイスパニア語を使う部署に配属されたり、イスパニア語圏の国々に駐在したりする可能性もあります。

日本では、イスパニア語能力が活かせる職業はどのようなものがありますか?

上に挙げたような職業に就いて国内外で活躍している卒業生は多くいます。ただし、イスパニア語学科で4年間学んだからといって、誰でもイスパニア語を使って仕事ができるというわけではありません。将来への明確な目標をもって、在学中の早い時期から準備と努力を重ねておく必要があります。