自分色の留学

藤岡優美

こんにちは!ドイツ語学科2年の藤岡優美です。私はノルトライン=ヴェストファーレン州のデュースブルクという街に約半年間滞在していました。明後日はついに帰国。このような機会をいただき、6ヶ月間を振り返りながら今このブログを書いています。

はじめに、私がドイツに来てからじわじわと実感したこと。

それは、語学力の向上においては何もドイツに来なくとも日本でもできることはいっぱいあったなということです。

例えばドイツ人とのタンデム、メールやチャットでのやり取り、ドイツ語を使えるアルバイト、そして机に向かって勉強すること。日本にいた頃、授業態度も成績も芳しくなかった私は「単位を落とさずに在外履修に行けること」が目標になってしまっていたため、ドイツ語は自ら進んで学びたいと思えるものではなく、学習時間といえば、恥ずかしながら授業と試験直前のみでした。有り余る自由な時間をどう使うかという問題には日々悩まされ、日本でできたことをドイツでしている自分を不甲斐なく思いました。 

でもだからこそ、ここでしか得られない体験とドイツに来たからこそ出会えた人たちと過ごす時間を大切にしようと思うようになりました。私は6人のタンデムパートナーに恵まれ、またWGの5人の同居人とは本当に多くの時間を共有しました。

ドイツ人2人とタンデムを4時間、ドイツ語の授業を4時間、と日中の大部分を大学で過ごした後、仲良しのルームメイトと買い物に行き一緒に料理をして、共有スペースで夜遅くまで(時には日付を越えて)話していたこともしばしば。自室に戻ってどっと疲れを感じても、その疲労感さえ嬉しくて、日本帰国後はもうこんなに頻繁に一日中外国語を使って過ごすこともないと思うと、ひしひしと寂しさを感じます。

もうひとつここに書いておきたいのは、(今となっては過去だから言えることではあるけれど)、海外生活ではハプニングや困難にぶち当たったほうが面白くて、そういった出来事を経験したことが自らの成長に繋がるということ。

私の事件簿の中で最も大きいものは、12月中旬に長距離バスの中で携帯電話(と家の鍵、生徒証)を紛失してしまったことです。バス会社に3度連絡したものの返信はなく、1時間バスセンターに並んで遺失物について尋ねたところ「とりあえずそういう類のことはHPから報告してほしい。」「今は問い合わせが混み合っているから返信には4週間程かかる。」と追い返される始末。(結局返信は来ず)

現地で新たに携帯電話を購入していなかったので、多くの人にご心配とご迷惑をかけつつ、以来約3ヶ月間スマートフォンのない生活を送っています。多くのことはパソコンでできるので特別不便なこともなく、スマホがなくなったことでSNS離れができる!勉強に力が入る!と早い段階でプラスな方向に転換していました。

記憶に新しい最近の出来事といえば、旅行先のベルギーからドイツへの波乱万丈な帰路。にこにこ笑顔の黒人男性に、今晩は僕の家に来ないかとしつこく誘われ、振り切ったと安心したのも束の間、無人同然の屋根なき駅に辿り着き、大幅な遅延によって乗り換える予定の電車は遥か昔に出発していて更に終電…。善後策を考え、何とかその日のうちに寮に帰ることができました。見知らぬ駅で、携帯電話もなく一人で突っ立って考えていたのも今では笑い話、良い思い出です。

自分の身に起こった出来事を誰かに伝えようとして、解決しようとして、これまで知る由もなかったような単語たちを覚え話すことで、その件について、また似たテーマについては自然とすんなり話せるようになります。一度大きな壁にぶつかれば、些細なことでは動じないタフなメンタルも身につきます。語学面でも精神面でも成長できるし、何よりこういった経験は自分の人生を豊かにしてくれると私は思います。

ひとことで留学と言ってもその形は人それぞれ。以前一読した誰かの留学体験記を鵜呑みにして、思い描く理想と現実とのギャップに苦しんだり、歯痒いことがあれば、自分と周りの人と条件の善し悪しを比較して自分を取り巻く環境のせいにしてしまったり、初めの頃の私はそんな毎日の繰り返しでした。でも、このままでいいのかという漠然とした不安があっても、とりあえず目の前のことを全力で頑張る。そんな時期を経て気づいたことがあります。辛くて悩んでいる時や何か一所懸命に努力している時、その当時は必死で分からないけれど、その経験はきっと自分の糧になること。それを後になって実感できる日が来ること。

正直なところ、この留学に悔いはないと言えば嘘になるけれど、自分なりの、自分らしい半年間を過ごせたと今では胸を張って言えます。

同大学に留学していた学科の友人、Buddy、両親、先生方をはじめ、関わってくれた全ての人に支えられていると実感した留学生活でした。

本当にありがとうございました。

ドイツでの生活が終わってしまう寂しさ反面、在外履修を通じて小さいながらも幾つか新たな目標ができたので、帰国後の大学生活が今から楽しみです。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

1y-fujioka

2y-fujioka