私は一人の外国人

坂崎美季

こんにちは!ドイツ語学科2年の坂崎美季です。私はいま、ドイツのテューリンゲン州の 州都、エアフルトという町で勉強しています。

この町はデュッセルドルフやミュンヘンといった大都市と比べれば規模は小さいですが、 トラム(路面電車)でほぼ町中を行き来できますし、大学からほど遠くないところにメイン ストリートがあって、そこで生活に必要なものはなんでも揃えることが出来るので、とても 住みやすい街だと感じています。 また町の中心には「クレーマー橋」というそこそこ有名な名所があって、9月のまだ暑い時 期には川を見ながらアイスを食べたり、昼間からビール片手におしゃべりしたりしている 人がたくさんいて(‼)、東京にいたころよりもずっと、ゆったりと時間が流れているような 気がしています。 町のあちこちには、今も旧東ドイツ時代の名残をみつけることが出来ます。例えば信号機がアンぺルマンだったり、いかにも東ドイツらしいシンプルな作りの噴水や建物があったり などなど・・・・。すめばすむほど魅力が出てくるような、そんな街だと思います。 今回はそんな町での、私の体験を少しお話ししたいと思います。

私は九州の田舎で生まれ育ち、大学入学を機に東京へでてきました。地元ではほとんど外 国人をみかけることはなく、地域の顔見知りの人たちや友達に囲まれてぬくぬくと育ちま した。東京へ出てきて、「日本にはこんなに人間がいたのか~!」と思うと同時に「こんな にたくさん外国人がいたのか~!」とはじめて実感しました。世間知らずだったわたしは電 車の中や町のいたるところで彼らを見つけると、目で追っていたりついジロジロと見てし まったりなど、今思えば軽薄だったなあと感じています。

このエアフルトという町では、立場が完全に逆転しています。この町にはヨーロッパ系以 外の人が少ないためか、ひとたびトラムに乗れば乗客の視線が一気に自分に集中するのが わかりますし、じーっとなめまわすように見てくるお年寄りや、街を歩けばこちらを見なが らひそひそとよからぬことを話している(ちょっと聞き取れるのがより悲劇な)若者もいま す。そんなとき私は自分が「外国人」であることを実感します。彼らが別に悪気があってや っているわけではないことはわかりますが、自分がマイノリティになる感覚ははじめてで、 最初それは私にとってつらいものでした。しかしここにきて初めてそれを体感できて、新し い視点から物事を見られるようになったので、よかったと思っています。

またドイツ人の友達の中には、つい最近日本に行っていた子たちもいて、彼らの話が私の 体験と似ていて、とてもおもしろいのです。彼らが東京の地下鉄にのっているとき、空いた席に腰掛けると、周りの日本人たちがだれからともなくサーっと席を離れていくんだそうです。さらに彼らが温泉に行った際、身体をきれいに洗ってからさっそく湯船につかろうとしたら、先に入っていた客たちが同じよう にサーっと湯船から上がっていったんだそうです。どちらも耳を疑うような話ですよね? しかし「日本人は外国人のことを怖がっているし不潔だと思っているんだ」と言った一人に 対し、「みんながそう思っているわけじゃない」としか言い返すことができない自分がいま した。確かに日本で自分も同じようなことをやっていたかもしれないし、日本で暮らす外国 人たちは人知れずつらい思いをしているのかもしれない・・・・。

そういった点では、まだまだ日本の首都東京は、ドイツの一都市と同程度なんだな。と感 じました。 自分が相手の立場になってみてはじめて、自分の行動がどういうものだったかが初めてわかって、前よりもより広い視野でものごとを見ることができるようになるのかなぁ。と最近なんとなく思っています。それを普段から心がけて生活するのはとても難しいけど、ここで 気が付くことが出来て、よかったです。もし留学を迷っている人がいたら、少しでもその気があるなら行ってみることをおすすめします。自分の周囲の状況や置かれている立場が変 わると、最初は戸惑いもありますが、新しい発見や出会い待っているかもしれないし、自分 の考え方も大きく変わるかもしれません。

在外履修も早いもので、残り4か月となりましたが、残りの期間を精一杯楽しみたいと思 っています。もともと座学が好きではないので、時間があれば積極的に外に遊びに出たり、 イベントに参加したりしています。そういった場できけるたわいもない話やたくさんのジ ョークが、私にとって一番の授業です(笑)。 

読んでくださってありがとうございました。それでは
Auf Wiedersehen!

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