出会いの賜物――住居トラブルを乗り越えて――

天尾佐季

はじめまして、ケルン大学に留学中の天尾 佐季と申します。
1月も既に終わりに近づき、1年間の留学生活も残り僅かとなりました。お話ししたいことは山ほどありますが、今回はわたし自身がこの留学で一番苦労した「住居探し」についてお話しさせていただきます。

わたしはこの1年間で引越しを3回しました。全てお話ししたいところですが非常に長くなってしまうので、簡潔にお伝えしようと思います。 

ケルンで引っ越しをすることは簡単なことではありませんでした。他のドイツの都市については存じ上げませんが、ケルンは大都市で住居の数と人間の数があっていません。ドイツ人でもケルンでの部屋探しはなかなか難しい、と言っていました。

昨年の5月末から現在まで、わたしは寮ではなくドイツ人の一般家庭のお家の一部屋をお借りして暮らしています。
ホームステイのような感じをイメージしていただければと思います。わたしの他にもう一人スイスからの留学生と、お家のお母さんと娘さんと4人で住んでいます。家の中でも勿論ドイツ語でコミュニケーションをとるので本当にいい環境です。そして3人をなんだか家族のように感じるので寂しさを感じることがありません。

次に5月まではどう暮らしていて、どのようにして現在の家を見つけたかをお話ししようと思います。
初めは寮に入りました。ケルン大学側が提供してくれたその寮はとてつもなく汚く、わたしはもともと喘息を持っていたためそこで喘息を起こしてしまいました。寮の部屋の状態は床に砂が敷いてあるように埃っぽく、前に住んでいた人や寮の管理人が掃除をした形跡は全く見受けられませんでした。すぐ大学側に部屋のせいで体調を崩してしまったので寮を変えてほしいと申し出をしましたが、わたしが本当に喘息であるという診断書を持って来るまでは部屋を変えることはできない、と言われました。診断書を提出してからも大学側は全く動いてくれなかったので大学に頼ることはやめて自分で部屋探しをすることに決めました。

現在の家を見つけるまでは知り合いの、また知り合いの、そのまた知り合いの方、というようにわたしのことを全く知らない方々が少しの期間で良ければ、と部屋を貸してくださり、なんとか住めるところを見つけて繋いでいたという感じです。人との縁は本当に、何といいますか、不思議なものです。
この家はインターネットの掲示板を見て、実際にお家の方にお会いし、事情を説明して住まわせていただけることになりました。掲示板を紹介してくれたインターナショナルオフィスの方は本当に親身になって相談にのってくださいました。ケルン大学に留学される方は困ったことがあったらインターナショナルオフィスのニコルさんのところに行ってください。

とっても簡潔にまとめてしまいましたが本当に本当に多くの方に支えていただいて、助けていただいて今こうして暮らすことができています。
今の家に来るまでは不安ばかりでしたが、家の問題がなければ出会えなかった方々がたくさんいます。また、もし引越しをしていなければ現在の家のお母さんや娘さんにも出会えなかったと思うと、今はあのとき頑張ってよかったなと思えます。

多くの方に出会えたことに感謝していますし、出会えたことを嬉しく思っています。
留学生活は人との出会いの賜物です。
残り僅かですが、周りの人と過ごせる時間を大事にして過ごしていきたいと思っています。

写真は、現在のお家の娘さんと撮りました。歯科医を目指していてよく白衣を大学で着るときいて、わたしもお借りして着させてもらいました。
s-amao