あと2ヶ月!?

河合温美

 こんにちは!ドイツ語学科3年の河合温美です。私は、2年の秋学期から在外履修でバンベルク大学に留学し、3年の春学期は交換留学でテュービンゲン大学に留学しています。どちらの街も南ドイツで、中世の街並みが残った、小さいけれどとても美しい街です。半年間慣れ親しんだ場所から引っ越し、新しい環境に慣れるまでは少し時間がかかりましたが(というのも、バンベルクではキッチン、シャワー、トイレが1人部屋についていたのが、テュービンゲンでは8人で全て共同、という環境に移った上、最初から部屋の電気がつかなかったり、部屋のドアの鍵がうまく閉まらなかったり、部屋の警報アラームが日夜嫌な音を発していたりと、ベストなコンディションではなかったということもあり)、今ではすっかり慣れ、22時近くまで明るいドイツの夏を楽しんでいます。また、半年で環境が変わったことで、たくさんの人たちに出会えた上、生活がマンネリ化せずに心機一転できたことも在外履修、交換留学で別の大学で学ぶことの利点だったと思います。
 私が留学する前、留学生が具体的にどのような生活をしているのかが一番気になる点だったので、今回は、実際に私がどのような留学生活を送っているかについて、全てではありませんが浅く広くお話ししたいと思います。

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バンベルクのシンボル

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テュービンゲンのシンボル

 まずは授業についてお話しします。
 在外履修時は、交換留学でドイツ人と一緒に専門領域を学ぶことを目標に据えて、複数ある「外国人のためのドイツ語」のクラスの中から、週8コマ選び、ドイツ語の勉強をしました。内容はバンベルクの地域研究、学問的な文や創造的な文を書く練習、文法、読解、リスニング、ディスカッションなどです。聞き取って理解することに精一杯で、授業中に発言することがなかなかできず、先生に「先生はモンスターじゃないし、周りの生徒も間違えた発言をいっぱいする。発言することがあなたの課題だ。」と言われてしまいました。

 そして、交換留学の今は、「ドイツ語を」学ぶことではなく、「ドイツ語で」学ぶことを目的と考えています。そして授業は「外国人のためのドイツ語」のクラスから、取れるクラスの数に制限があったため、3つ、テュービンゲンが位置するBaden-Württemberg州の地域研究、芸術から学ぶドイツ語、ドイツ語熟練クラスをとっています。これらのクラスでは、先生方はわかりやすくゆっくりしゃべり、周りの生徒も同じくらいのレベルなので、楽しく学べています。そのほかにはコーラス、スポーツ、英語、日本語学科のプロゼミから「日本の政治、経済、社会」の授業を、政治学科のゼミの中から「平和教育」の授業を取っています。平和教育のゼミは留学生はおらず現地マスター生がほとんどで、実際にディスカッションもあるのですが、全く言葉を発することができず大変悔しい思いをしています。交換留学での目標はドイツ人と一緒に学ぶことだったので、臆せずに少しでも何かを得るという気持ちでこれから続けていきたいと思います。

 次は授業以外のことについてです。
 授業は日本で受けていた数の半分ほどです。日本ではなかった時間がたっぷりあります。授業も大切ですが、授業以外の時間が異文化交流、異文化理解、またドイツ語を実践する大切な時間だと思います。

 授業以外の時間でできる一番身近な交流はTandemです。テュービンゲンには日本語学科があり、日本語を勉強している学生、日本に興味のある学生が多いので、パートナーを見つけやすいです。大学が斡旋してくれますし、自分で声をかけてタンデムを組むこともできます。プレゼンの直しをしてもらったり、会話をしてその場で言い回し、単語を習ったりしています。タンデムという関係だと、わからないことを気軽に聞くことができます。

 バンベルクには勉強を教え合うという関係のタンデム制度はなかったのですが、日本語の授業に行き、そこで一人のドイツ人と知り合いました。そしてその彼から、ドイツ語を教えてもらったり、ドイツについて、自身のことについて様々なことを教えてもらいました。その会話にはたくさんの新たな気づきがあり、とても興味深く、ドイツについての好奇心が掻き立てられました。

 また彼の紹介でインターナショナルグループという団体に参加し、年末年始にはその関係でドイツ各地から様々な国籍の人が集まり5泊6日の合宿が行われました。日本人は一人だけです。そこでは聖書スタディーがあり、私はキリスト教徒でもなく、キリスト教について全くの無知でしたが参加し、キリスト教の考え方について丁寧に教えてもらいました。聖書を読み込み、聖書に書かれていることについて議論し、聖書という一冊の本から自分の人生を見出している姿は、私にとって衝撃的でした。それが一番のカルチャーショックだったと思います。しかし、知っているか知らないかでは世界観が大きく変わります。とても良い経験でした。もちろん聖書スタディーだけでなく、雪の積もる山道を4時間くらいかけてWandern(ハイキング)したり、中国人から麻雀を習ったり、カードゲームをしたり、各国の料理や芸能を披露したり、みんなで歌ったり、とても楽しく、たくさんの文化と人の優しさに触れた日々でした。

 その他にも、学生とドイツ人家族を結びつけてくれるStiPfプログラムに参加し、一緒にクリスマスの行事を祝うなどの体験をしました。
 自分から交流することを求めなければ、授業に出席し、家事をこなし、というルーティーンを繰り返すのみになってしまいます。それがラクかもしれませんが、それではつまらないです。いつでもアンテナを張り、好奇心をもって、交流することに努めています。

 また、ドイツはキリスト教関係の休日が多く、たくさん連休があったので、それを利用して、ドイツ国内、ドイツ周辺国を旅しました。高校時代世界史で習った「文字」が、立体化されて、おもしろいです。日本に帰ったらまず、世界史の資料集を見たいと思います。今住んでいるテュービンゲン周辺は修道院、城や城塞跡、赤屋根の家々のかわいらしい小さな街、Wandern(ハイキング)できる場所が多く、まだまだ行きたいところがたくさんあります。時間が足りません!

 留学中にいろんな国の人と出会ったり、旅行したことで、それぞれの文化や社会について知り、私にとっての外国人や外国をより身近に感じますし、例えばこれから先、日本に帰って海外のニュースを見たとき、今まではどこか遠くの世界で起きていることのように見えていたものが、その国や地域の友達や自分が目にしたことと結びついて、より興味をもって見たり考えたりすることができると思います。

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年末年始に参加したFreizeitにて

 最後に私のドイツ語についてです。
 交換留学のときにはペラペラ!それは私が夢見ていたことですが、現実はそれとは程遠いです(泣)。今でも間違いを恐れて口から言葉が出てこないときが多々あります。また、わからなくてもわからないと言えず、そのままにしてしまうときもあります。そんなとき、いつも、なぜ言葉を発することをとどまってしまったのか、なぜ聞き返さなかったのかと後悔します。なるべくわかるまで質問するか、自分の理解が正しいか確認するように心がけようと自分を正しています。
 そして、しばしば、なぜ自分はドイツ語を学んでいるのか見失いかけそうになることもあります。(英語を完璧にした方が将来的にも有益なので(笑))その繰り返しです。
 しかし、なぜドイツ語を学んでいるのかという問いに関しては、私はやはりドイツ語とドイツが好きで、ドイツ語を学んでいるからこそ、ドイツについて様々なことを知り、様々な素敵な経験をすることができているので、後悔はしていません!
 ドイツに来て早9ヶ月が経ってしまいましたが、まだまだ満足するドイツ語レベルに至っていません。残り2ヶ月という時間に焦りも感じています。もう一度一からこれまで学んできたことを復習し、残りの時間でできる限りスキルアップできればと思います。
 最後まで読んでいただきありがとうございました!Danke schön! Tschüs! 

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3月のスタートコースで出会った仲間と。
それぞれの国の料理を一緒に作って食べる会