当たり前を疑問視する大切さ

田畑里沙子

こんにちは!ドイツ語学科2年の田畑里沙子です。
私は9月からオーストリアのグラーツ大学に留学しており、もうすぐ1ヶ月になります。
正直1ヶ月が経っても何かが変わったという印象はありません。今回、このような機会を頂けたので、残りの留学生活を有意義にするためにもこれまでの道のりを振り返りたいと思います。
 
まず、なぜドイツではなくオーストリアを留学先に選んだのか疑問に感じる方も多いと思いますが、それは純粋な言葉への興味からでした。上智大学ではHochdeutsch(いわゆる標準ドイツ語)を学んでいました。しかし一口にドイツ語といっても地域によって挨拶が異なったり、時には文法にも差があることを知り、今まで知らなかったことを沢山吸収したいと考えるようになりました。実際オーストリアに来てみて、毎日新しい発見をしています。授業ではドイツで話されるドイツ語と比較しながら単語や文法の説明をしてくれるので、なんだか得した気分になります。笑
時には混乱してしまうこともありますが、一つの言語でもこんなに幅が広いのだということを日々実感でき、新たな分野への関心も増えました。

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プレゼンの準備でクラスメイトのお家にお邪魔しました^^
みんな自分の意見をしっかり発言するので終始圧倒されましたが、良い経験になりました!

 

 

 

 

 

 

 

 
生活面では日本を恋しく思うことが多かった1ヶ月でした。ですがこの思いが、ある重要な価値観に巡り合わせてくれたので、皆さんにシェアできればと思います。
グラーツのお店のほとんどは夜7時には閉まります。日曜日は一部を除いて、営業しません。お役所はお昼の1時に閉まってしまうので、授業がある日は滑り込みなんてこともありました。日本だったら24時間営業のお店があって、日曜日も営業しているのに、とお店の営業形態に疑問を感じていました。
それから最初の頃は手続きに追われる毎日でした。住民登録をしたり、定期券を購入したり、インターネットの環境を整えたり…。そしてその過程で問題が生じます。例えば、定期券を購入する際、私の名前と誕生日が登録上存在せず、なかなか次に進みませんでした。原因は何かと思ったら、誕生日が間違っていたことでした。住民登録の際に、なぜか2015年生まれで登録されていたのです。笑(ちなみに月日も違いました…) 大事な登録なのに、どうして乱雑なのかと少しだけイライラしてしまいました。
日本だったらこんなこと起きないと思いますし、「申し訳ございません」と言われるのではないかと思います。
 
お気づきでしょうか。私は常に日本と比較して物事を判断していたのです。20年間日本で暮らしてきた私にとって、比較せずして受け入れるのは難しいことなのは分かっています。しかしここはオーストリア。言葉も文化も考え方もしきたりも何もかも違うのです。そしてそれを日本基準で受け取っていたら良い意味での違いと捉えることができません。逆に日本フィルターを外せば、なんだかすべて良い違いに感じられるのだから不思議です。お店が早く閉まるということは、労働環境が整っていることにつながっているかもしれません。手続きで問題が生じても、それは間違うことが決してだめなことではないということを教えてくれたのかもしれません。きっと日本フィルターを外して、違いを受け取れば、常にポジティブに生活できるのだと思います。それから友達も増えるだろうし、今までよりきっと距離も縮まります。これが留学して1ヶ月、私が一番に感じたことです。
 
最後に冒頭で述べた「あまり変化のなかった1ヶ月」と関連して、これから留学する後輩の皆さん、留学を目指している中高生の皆さんに向けて書きたいと思います。
私はずっと海外に憧れていて、留学を目標に過ごしてきました。そういう方も多いのではないでしょうか。私は外国に行けば外国語を話せるようになると信じ込んでいましたが、実際はそんなことありません。自分から変化を作り出していかなければ日本にいるときと何も変わらないのです。結局、どこにいてもどんな環境下であっても努力しなければならないことを実感しています。留学に向けて、単語を覚えたり、話す練習をしたり、今みなさんがしている小さなことが留学中に実を結ぶことと思います。
ドイツ語学科の授業は本当に恵まれています。その環境を大切に、日々努力してみてください。私も留学に憧れていた過去の自分に怒られないように、努力を積み重ねていきたいと思います。

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街の中心部が歴史地区として世界遺産に登録されています。
これは時計台のあるシュロスベルクから撮りました!とても素敵な眺め^^