VOL.18
2010年卒業
Eucon GmbH(独系コンサルティング会社)
岡野有美子さん
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海外で働く

私はドイツ北西部のミュンスターという街で、コミュニケーション学(Kommunikationswissenschaft)を勉強しました。コミュニケーション学とは、メディアと密接な関係にあるジャーナリズム・広告・広報という3つの軸を、経済学・政治学・社会学・教育学・心理学といった視点からアプローチする学問です。卒業論文を昨年の冬に提出し、現在はミュンスターにある独系コンサルティング会社で、欧州・アジアにおける自動車業界の市場分析をしています。クライアントのほとんどは自動車メーカーと部品メーカーで、たまに保険会社から案件を引き受ける事もあります。社内で使用される言語はドイツ語で、社外ミーティングやクライアントとのやり取りは60%英語40%ドイツ語です。ほとんどが欧州の案件ですが、年に1~2件ある日本の案件は優先的に私に回してくれます。
ドイツ語学科卒業後、私は国内メーカーで営業として働いていましたが、以前から興味のあった企業広報の勉強をしたい、ドイツで今後のキャリアを積みたいという理由から、進学を決めました。準備を始めたのは渡航の約1年前で、まずは大学を選定し、大学によって異なる入学条件や出願書類について情報収集をしました。そして東京のGoethe-InstitutでTest DaFを受け、渡航2ヶ月前に大学の入学許可が下り、2012年の冬に渡独しました。

学生生活

ミュンスター大学のカリキュラムは専門性が高く、大学側が学生に要求するレベルも高いと感じました。最初の1年はコミュニケーション学の基礎と、社会科学における調査手法(統計・アンケート調査・内容分析など)を学び、2年目からは各専門分野のゼミを選択します。週末に開講されるゼミは特に興味深く、例えばPR会社や企業のマーケティング部で働く学科のOBが講師となり、理論に具体例を交えながら解説してくれます。その他にも商品のコンセプトからPR戦略までを提案したり、グループで意識調査を行うなど、学生主体の授業が印象的です。
アルバイトとインターンはどちらも新聞などの広告を見て応募したり、学校から斡旋されたり、知り合いから紹介を受けることもあります。アルバイトは職種を選ばなければすぐに見つかりますが、インターン探しは競争率が高かったり、実際の仕事内容が専門と無関係であったり、無給だったりするので、根気が必要です。(※ドイツではインターン生を3ヶ月以上雇用する場合、最低賃金8.5ユーロを支払う事が昨年から義務化されました)インターンについては異なる分野で2回以上経験する学生が多く、私はイベント広報(4ヶ月)とマーケットリサーチ(7ヶ月)のインターンを経験しました。日本での職務経験は、インターン採用の選考段階でプラスに働くことが多かったです。

ドイツで学んでよかったこと

学生生活で苦労することは語学力よりも、相手を納得させる話し方とロジカルシンキングだと思います。この2つはドイツ人が小さな頃から学校や家庭で習得してきたものですから、ドイツ人学生とのディスカッションやプレゼンテーションで鍛えられることになります。ドイツでの学生生活に限らず、日本の職場でも海外の職場でもこの2つはとても大切なことで、常に自分の行動・言動に一貫性を持たせ瞬時に説明できる能力が求められます。そのトレーニングが出来た事は、大きな収穫だったと思います。

ドイツ語学科で学んでよかったこと 

在学中、文献や資料を読む際に『批判的に読む』という事を先生方に助言されました。筆者の言う事は客観性を欠いていないか、矛盾がないか、論点がずれていないか、よく考えながら読み進めていくという事です。社会人になってからも1つの仕事に取り組む前に、なぜこの仕事をする必要があるのか(必要がなくてもやらなくてはいけない仕事はたくさんありますが…)、本当にこのやり方で相手が満足するのか、考える癖がついたと思います。もちろん納期・期限を守るという事は大前提で、仕事によっては量をこなす事が最重要視される場合もあります。しかし、目的を達成するための最短プロセスを意識することはどの職場でも大事だと思います。
そしてドイツ語学科でドイツ語を学び、在学中に留学をしたからこそ、海外で働きたいという気持ちが芽生え、こうしてドイツで新しい分野の知識を深める事が出来ました。キャリア形成だけでなく、私自身の価値観に大きな影響を与えたのは、ドイツ語学科での4年間だと思います。卒業後の進路を考えている在校生の皆さんも、ドイツ語学科で培った語学力とコミュニケーション力、そして海外経験を活かして、海外進学も視野に入れてみてはいかがでしょうか。
ミュンスターの街並み
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卒業式にて
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