VOL.24
1994年卒業
上智大学ケルンオフィス
ノイマン寿子さん
Cologne Office

ドイツ語に背中押されて、ウィーン、ケルン、ベルリン、ときどき東京

 

 初めまして。上智大学ケルンオフィスのノイマン寿子(ひさこ)です。

 私は今でこそドイツ語圏に計15年程暮らしていますが、日本で生まれて日本で育ち、大学三年の夏に語学研修でオーストリアに行くまで日本を出たことがないドメスティックな学生でした。

 学部時代はそこそこ真面目に勉強しましたが、語学センスが特に良いほうではなかったので、成績は良くも悪くもなく、いたって普通。卒業当時は、初対面の人に会うたびに「ドイツ語学科卒ってことは、ドイツ語ペラペラですよね?」と聞かれて、苦笑しかできないレベル。しかし、履歴書にドイツ語学科卒業とある限り、この質問からは逃れられないのだと観念し、「この先ずっと言われるのなら、できるようになろう」と発想を転換しました。

 そんな私がコンスタントにドイツで仕事をできているのは、割と長い間ドイツ語と向き合い、上達の停滞期も腐らず、無理せず、気長に取り組んできたからだと思っています。この人は素敵なドイツ語を話すなあと思う人を見つけて、その人の話す発音やフレーズを繰り返し真似しました。

♦ケルンオフィスについて
 最初にケルンオフィスの紹介をします。オフィスはケルン大司教区所属のカトリック大学共同体(Katholische Hochschulgemeinde Köln)内の一室を借り、2015年に業務を開始しました。

 オフィスにはテレビ会議室システムが設置され、四谷キャンパスと繋いで遠隔授業や会議のほか、毎年3月には在外履修生の学期末試験を実施しています。

 さらに、日本留学に関心を持つドイツ人向けに、上智が提供しているプログラムを紹介したり、ドイツ各地にあるインターナショナルスクールに行って、高校生向けに入試説明会を行ったりしています。

 日本学術振興会が主催するJANET(在欧日本学術拠点ネットワーク)にも参加し、ドイツに拠点を持つ日本の大学・学術機関と共に、国際展開のための情報共有と日独間の学術交流活動促進に努めています。

ケルンオフィスの看板 在外履修試験

 

♦私がドイツに行った経緯
 上智大学を卒業後、企業勤務を経て、別の大学院に進学して言語社会学を専攻しました。在学中に奨学金を得てウィーン大学に留学。留学中にドイツ語レベルC2のKleines Deutsches Sprachdiplom (KDS)を取りました。

 ウィーンに来て2年が経ったころ、独立行政法人国際交流基金が、ドイツ支部であるケルン日本文化会館で専門調査員を公募していることを知り、日本で選考試験を受け、ウィーンからケルンに引っ越しました。大学院の単位は修士論文を残すのみでしたので、クリスマス休暇に論文を提出しに帰国し、すぐにドイツにトンボ帰り、2月に口頭試問を受けに数日間帰国し、修士課程を修了しました。この数か月は綱渡り状態で、生きた心地がしませんでした。

♦ケルン日本文化会館の海外専門調査員
 ケルン日本文化会館ではドイツ語圏を対象として美術や映画、舞台芸術などの文化・芸術交流、日本語教育、そして日本研究・知的交流を推進するための活動を行っています。

 私はドイツ文化事情調査を執筆する傍ら、舞台の担当となり、日独の学術シンポジウム、沖縄舞踊、尺八と琵琶の演奏会、日本人作家を招いた講演会などを企画・実行しました。 

♦ベルリンの日本国大使館の政務班専門調査員
 ケルンからベルリンに引っ越し、大使館でドイツ内政を担当する専門調査員となりました。ドイツの世論調査の翻訳し、外国人統合政策について調査し、レポートを作成する仕事です。

 ベルリンは国際色豊かで、政治、経済、文化のあらゆるシーンが目まぐるしく変化し、毎日が刺激的で、知的好奇心を掻き立てられる街でしたが、気が付けば、渡欧してから8年近く経っていました。ドイツに永住するつもりはなかったので、ここの生活を畳んで、日本に帰ることにしました。

♦東京で民間企業に転じる
 これまでの調査経験が生かせるマーケティング職で転職活動し、ルフトハンザドイツ航空日本支社に採用されました。オンライン担当として、英語と日本語でニュースレターの記事を執筆し、モバイルとウェブのコンテンツを担当しました。ルフトハンザの社内公用語は英語でしたが、マーケティング部門はドイツ本社とのやり取りが多く、ドイツ語は大いに役に立ちました。このころGroßes Deutsches Sprachdiplom (GDS)を取りました。

 その後、家の事情で再びケルンに戻ることになるのですが、東京で再・社会人生活を送った4年間は貴重な時間でした。礼儀正しく、丁寧で誠実な仕事をする日本人の長所と、清潔で公共のものを大切にする日本社会の良さを再認識したからです。今、再び外国暮らしが長くなっていますが、日本人の良い面は忘れないように心掛けています。

♦最後に、学生の皆さんへ
 夢や目標は敢えて周囲に公言することをおすすめします。目指すものがチャレンジングであればあるほど、口に出すのは恐れ多いかもしれませんが、言葉に出すと、自分のマインドがその方向に向かいますし、周囲がそれを認識して、その分野のアドヴァイスをくれたり、思いがけない情報を寄せてくれたりすることがあります。

 大きな夢の実現には自力のアップは必須ですが、不足分を他力が補足してくれることはあるかと思います。アンテナを大きく張り、勇気を出して周囲の社会人の先輩に語ってみると、意外な方向から光が差し込んでくるかもしれません。後輩の皆さんの未来が明るいものになりますように!

 
入試説明会

インター校での入試説明会

DSC04393-2