自分色の留学生活を! ~エクス4か月を振り返って~

鈴木 優花

「年間の平均晴天日数は300日以上」と言われるエクサンプロヴァンスは、フランス南部プロヴァンス地方の中心に位置します。いつの間にか真夏の強い日差しも和らぎ、今月初めには7年ぶりの雪が降り、この太陽の街にも冬が訪れました。そして一学期も終盤。期末試験期間に入り、私がこの街に来てから4ヶ月が経とうとしています。エクスは小規模ながら、マルセイユやアヴィニョン、アルルなど他のプロヴァンス地方の都市へのアクセスも良く、南の街の魅力を堪能できる素敵な街です。

九月のマルセイユ、Frioul島。学期前の語学講座最終日のエクスカーション先でした。

九月のマルセイユ、Frioul島。学期前の語学講座最終日のエクスカーション先でした。

留学先で方向転換?
 
学期前のフランス語講座を含め、私は8月末から、エクス=マルセイユ大学で交換留学生として学んでいます。
 私はもともと留学をすることが高校生からの夢だったので、留学をすることに迷いはありませんでした。しかし、昨年の交換留学出願の時期は、その締め切りまで語学留学にするか、交換留学にするか迷っていました。留学に行くからにはフランス人に囲まれた環境で学びたい、チャレンジしたい、という気持ちがあった ものの、大学で学ぶ交換留学では、政治や法律などの「何か特定の目的を持って行くもの」というイメージがあり、私は学びたい分野がはっきりと分からなかったからです。しかし建築には興味があったので、上智の図書館でフランスの建築や街並みに関する本を探し、先輩の留学帰国レポートを読みあさり…結局「学 科の枠組みを越えて履修することができる」「建築史を含めた美術史が学べる」という二点から交換留学先としてエクスマルセイユ大学を選びました。
 そしていよいよ新学期。科目登録用紙を出すまでの始めの一、二週間は自由に授業を受けられるので、さまざまな授業に参加しました。結局、自分の興味は美術史というよりは地理学にあると気づくことができました。思い切ってフランスの大学に飛び込んでみると、自分の新たな興味や関心に出会うかもしれません。

エクスの街中にある、5世紀から16世紀ごろまでの建築様式が混在するサン・ソーヴール大聖堂。

エクスの街中にある、5世紀から16世紀ごろまでの建築様式が混在するサン・ソーヴール大聖堂。

その国で学ぶということ
  
私はフランスで学ぶこと、また、他の国の文化を知ることの意味の大きさを日々感じています。毎日のようにフランス語で「こういう意味でもこの単語を使うんだ!」と発見があるのは当然ですが、留学生や日本語学科のフランス人学生から、語学に対する姿勢に関して刺激を受け、他国の文化を知ることは自国の文化を知ることだと考えさせられます。バス停でバスを待っている時や、スポーツの授業で、日本語を学び始めたという学生に声をかけられ、仲良くなるなど、思いもかけなかったこともあります。積極的に日 本語で話してくる友人には、勢い負けをしてしまうことすらあるのです。とにかく皆積極的で、学んだことをすぐ実践しようとする意欲は常に私の良いお手本となっています。また、エラスムスの学生向けのヨーロッパ比較文化の授業を取っているのですが、内容が政治に関するものであるため、度々政治に詳しいフランス人の友達に質問をしています。すると彼らから他国の場合と比較して「日本はこうだよね」と思いもしなかった点を指摘されることもあり、ヨーロッパの国々について学ぶと同時に、日本を客観的に見る視点も養われてきているように思います。

今年八月に完成したばかりの大学図書館。併設の食堂もよく利用しています。

今年八月に完成したばかりの大学図書館。併設の食堂もよく利用しています。

自分色の留学生活を
 
今年はエクスマルセイユ大学との協定校も増え、日本人は交換留学生だけでも15人、同じ敷地内にある語学校に通う学生も合わせればさらに多くいます。そこでつい周りの日本人の友達 とフランス語の進歩の具合を比べてしまいます。しかし、前向きな気持ちを持って、マイペースでいこうと自分に言い聞かせています。
 マルセイユには総領事館があり、 日仏交流の場が設けられています。その枠組みで秋祭りでボランティアをしましたし、市で募集していたAteliers d’échanges culturelsという幼稚園から小学生ほどの子供に日本文化を紹介するプログラムに、二か月に渡って参加しました。そして全授業が終了して帰国するまでの間に、WWOOFシステムを利用して農業体験をしてみようかと検討しているところです。留学期間は限られていても、さまざまな機会があふれています。辛いこと、 悔しいことも多いですが、最後まで自分らしく充実した留学生活を送ろうと思います。