フランス国立東洋言語文化研究所

Report no.6: Hibino

留学しようと思った理由は、かなり当たり前で漠然としていますが、まず、フランス語の能力を高めたいから。次に、日本以外の国に実際に住んでみたかったからです。僕の場合は、大学に入る前から、外国語学部に入ったら、どの言語を学ぶにしても留学には絶対に行くと決めていたので、留学に行くという思い自体がモチベーションとなっていました。

僕はパリのイナルコ大学に留学していたのですが、毎日かなり充実した日々を送っていました。パリには観光名所を始め、行くところがたくさんあるので飽きることがありません。大学でも、フランス人や日本人の友達とカフェテリアで何気ない話をするのが楽しいです。授業に関しては、個人的にですが、それほど面白さは感じません。なので、あまり伝えられることはありませんが、その理由だけ書きます。理由は明確で、1つは、自分のフランス語レベルが低いので授業がよく理解できないから。もうひとつは、自分の興味のある分野と実際の授業の内容が離れていたからです(イナルコの授業は特殊:後述)。おそらく、TCF(フランス語能力試験)のB1レベルでは、まともに授業を理解できないと思うので、学問的な楽しさは感じられないのではないでしょうか。ただ、自分の専門分野の授業で予備知識があれば、ずっと理解は楽になり面白さも感じられるかと思います。

では、大学に通いながらもその授業が楽しくないのに、どのように生活が充実していたかを、イナルコの紹介も兼ねて書きたいと思います。前にイナルコは特殊と書きましたが、それはイナルコがヨーロッパ最大の外国語大学だからです。中でも日本語学部が一番大きく、日本語を勉強している人は1000人はいるはずです。なので、フランス人と知り合う機会がないことはあり得ません。実際に僕は友達に恵まれ、彼らと話したり、言語を教え合ったりすることが一番の楽しみになりました。問題の授業に関しては、基本的に日本語学部の授業から選ぶのですが、「日本に関する内容」という授業の特徴により、選択肢は多いとは言えません。また、授業は日本語の学習と同時進行ですから、専門性が高いとも言えません。これが、僕が授業は楽しくないと思った理由です。しかし、確かに興味のある授業でないのは残念ですが、フランス語を学ぶという観点からは、自分にはレベル的にちょうどよいと思っています。(授業はフランス語で行われます)

もうひとつの楽しみは旅行でした。なんと言っても、航空代が安く済むので、比較的、気軽に他国へ足を延ばせます。僕がイタリアへ行った時は、早めにチケットを取ったので、往復で1万円くらいだったはずです。もちろん、フランス国内にも素敵な町はたくさんあるので、バカンスの時には選択に困るくらいです。

最後にお金のことについて。僕のように経済的に問題のある人は留学生用のJASSOの奨学金を狙ってください。月8万円×約10カ月です。留学の選考結果とGPA(評定平均値、4が最高)が選考基準なので、まずはGPAを3.5以上キープできるように頑張ってください。金銭的な問題で留学を諦めるのは非常に悔しいし、もったいないと思います。ちなみに1年間の留学にかかった費用は160万円ほどでした。

とにかく、留学をしていて思ったのは、もしあなたが留学に行きたいと思えるならば、ぜひ行ってほしいということです。頑張ってください。