VOL.6
2000年卒業
上智大学体育会ラグビー部専任ヘッドコーチ/ノンフィクションライター
柴谷晋さん

未来へのハードトレーニング

現在はどこでどのようなお仕事をなさっていますか。

 本年度より上智大学体育会ラグビー部のOB会と契約し、専任ヘッドコーチとしてラグビーの指導をしています。それ以前は、中高一貫校にて英語教員をしていました。その前は、コピーライター、ノンフィクションライターをしていました。ノンフィクションの取材活動は現在も続けています。

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フランス語学科で学んでよかったと思うことは何ですか。

 在学中、フランス語のスピーチコンテストで審査員特別賞をいただいたことがありました。主題は「フランスのラグビーは、なぜ美しいのか」。2年時に、フランスへラグビー留学をした際の経験を原稿にしました。フランスのラグビーは「シャンパンラグビー」と呼ばれます。シャンパンの泡がわき上がるように、選手たちが自在に動き回り、パスがつながっていく。そこには、観る者を魅了する美しさがある、と言われます。しかし、私が体感したものは、美しさよりも激しさでした。肉体的な激しさと、自己主張の強さが、フィールド上で融合した結果、美しさにつながっていると感じました。日本とも、英語圏とも異なるラグビーがそこにはありました。

 このように、英語に加え、フランス語圏の文化も学んだことで、人々の考え方や営みの多様性を肌で感じることができたと思います。

 在学中に一番印象に残っていることはなんですか。

 メランベルジェ先生(故人)のフランス思想ゼミですね。世の中には、物事をこれほど深く、そして多様に思索する人がいるのか、と驚きました。それと同時に、その内容の深さに、いつも頭がクタクタになりました。この感覚は、のちにノンフィクションを執筆した時にも感じましたし、現在ラグビーについて考えている時も同様です。

 メラン先生自身、思想家であり、スポーツマンではありませんでしたが、私には良いトレーニングコーチでした。

 なぜ、現在の職場を選んだのですか。

 私はこれまで様々な職業を経験してきました。広告代理店でのコピーライターに始まり、編集者、ノンフィクションライター、英語教師、そして、ラグビーコーチ。その時に、自分がやるべきことを選択した結果です。専任ヘッドコーチのお話をいただいた時にも、これは私がやるべきチャレンジだと感じたのです。

 いずれは日本の最高峰リーグ、トップリーグや海外で、アナリストやコーチになりたいと考えていますが、その前に上智大学ラグビー部の強化のお手伝いをしたいと思ったのです。上智大学ラグビー部は、ラグビーエリートを育てるクラブではありません。ラグビーのプロではなく、社会人としてのプロ、つまり日本社会の根幹を支える人材を育てるクラブです。このような前途有望な若者と一緒に、目標を達成するための方法を考え、実行し、成功体験を積んでもらうことは、一つのラグビー部の強化以上に大きな意義があると私は考えています。

 最後にメッセージをお願いします。

現在、ラグビー部には、ポルトガル語学科、イスパニア語学科、フランス文学科の学生はいますが、残念ながら、フランス語学科はいません。勉強もクラブも一生懸命取り組みたいという学生を待っています。ラグビー経験がなくても構いません。なお、女子マネージャーやスタッフも募集しています。教室とグランドにて、将来のための力を存分に伸ばしていきましょう。

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