VOL.3
2008年卒業
日本外務省勤務
伊藤 宏司さん
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人々や生活の視点を大切にした外交を展開していきたい

現在はどこで、どのようなお仕事をなさっていますか。

日本の外務公務員として、外務省本省で日本と北米を結ぶ経済情勢に携わっています。最近では、TPP交渉の参加に先立って多くの議論があり、話題に事欠かない部署です。

英語学科で学んでよかったと思うことは何ですか。

実に多くのことに感謝しています。英語の精確さaccuracy felicity を学べたこと。また、国際関係などの分野を二重専攻として選べたこと。学生の将来を気遣い、的確な教育を施してくださる先生方に恵まれたこと。上智全体として、他人に対して魅力的になるよう自分を高めることと同時に、周囲に手を差し伸べながら、それを自分の糧とすることなど、人生観なども非常に合っていた。現在でも初めてお会いする方に、良い師に支えられてきただろうことが想像できると言われます。

在学中に一番印象に残っている体験は何ですか。

卒論。論文を書き始めるにも自分の主張に疑念があり、なかなか仕上げられなかったところ、ロバート・ゲーツ米国防長官(当時)にお話を伺う機会を得ました。実に丁寧でバランスを持った回答を得られ、執筆を後押しする貴重な時間になりました。そしてここでの確信が、後述するウガンダでの経験と現在の仕事へ一筋の指針を与えてくれたように感じています。

なぜ、現在の職場を選んだのですか?

外交というチャンネルを通してこそ達成できる国際関係があると信じるからです。国際関係には多様な利害関係者がいますが、国家として対峙するからこそできる交渉がいまだにたくさんあります。それぞれの職員には、高い分析力、言語の運用能力、歴史などの広く鋭い教養、交渉に関係する人々を想う創造力が求められる、挑戦に満ちた職場です。これは、現場経験がなければできない仕事ですが、そこで得た洞察を広く社会に生かすには最適の職場と考えます。一方で、組織にこれまでなかった特徴を自分が持ち合わせるよう心がけ、多様性を取り入れることも大切だと思っています。

「英語」の必要性がますます高まっていますが、それについてどのように感じていますか?

必要性の高まりにも拘わらず、依然として日本では英語が異国の言語として捉えられていて、究極的な習得を阻害しているように感じます。英語に限らず、他の言語や文化に対する許容力や柔軟性は、もっと伸ばすべきです。言葉は理解の基礎であり、自分の言葉で発信し受信する感覚は、代え難いものです。しかし、英語がある程度できる人は社会にいますが、そのうちどれだけの人が英語を「武器」として使いこなせているでしょうか。英語学科であれば、その場にこそふさわしい英語を巧みに操ることにあざとくなることが大事だと考えます。同時に、英語が持つ世界観に呑みこまれないよう、他の言語を習うことも大切だと考えます。外国語を上達させるには、日本語もしっかりしたベースがなければならず、幅広い勉強が必要になるでしょう。

今後の夢をお聞かせください。

人々や生活の視点を大切にした外交を展開すること。様々な日本のよさが外国に伝わる努力をし、日本だからこそ手を結びたいと思わせるような国を創ること。

メッセージ

卒業後すぐに、JICAボランティア事業(青年海外協力隊)に参加しました。志望が通り、JICAのODA技術協力案件に参加する第一号隊員となり、ウガンダの農村で2年間コメを普及する任を得ました。

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国際関係という学問の中で、安全保障と開発という分野が相容れない見方として存在していることが気になっていて、それを自分の感覚で確かめたかったのです(コメを安全保障と開発が重なる点と捉えました)。

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ウガンダでは、地域文化に浸かり、生活圏を共に作っていくという貴重な経験をしました。どんなに辺鄙な村でも国を代表する覚悟を持ち,一方でその場にふさわしい細かな工夫と地道な作業や議論を通して、一定の成果が上がったことが励みになりました。また、現地の方が日本の代表としての私を信じ、課題に共に取り組んでくれたことは現在の仕事を目指す原動力であり、毎日の糧となっています。