『十二夜』

学科長日記-シェイクスピア

<ウィリアム・シェイクスピア (1564~1616)>

2012年11月21日(水)

 40くらいあるシェイクスピアの作品の中でどれがいちばん優れているか、というのは答えるのがとても難しい質問だけれど、敢えて独断と偏見に満ちた個人的な見解を述べるならば、悲劇では『リア王』、喜劇では『十二夜』だ。『リア王』は、「人間が全てを失ったときに何が残るか」を描いた宇宙的なスケールの傑作だ。一方、『十二夜』は、シェイクスピアの作品の中でいちばん美しく切なく、都会的で洗練されている。テーマは「愛のかたち」。『十二夜』には同性愛も含めた実に様々な「愛」が描かれている。そして「愛」を語るに相応しく、主要な登場人物は全て独身だ。

 いまゼミではこの『十二夜』を読んでいる。ゆっくりじっくり読んでいるので、学期の半ばでまだ2幕3場、男装してシザーリオを名乗る主人公のヴァイオラが、密かにしかし熱く、オーシーノ公爵に愛の告白をするシーンの途中まで今日は読み進んだ。何度読んでも、この作品は隅々まで素晴らしい。

 ソフィア・シェイクスピア・カンパニー第2回公演は来年3月上旬にこの『十二夜』を上演する可能性がかなり高くなっている。皆さまどうかご期待下さい。