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ラテンアメリカン・ウィークエンド(2)

 

前回は、上智大学イベロアメリカ研究所50周年記念シンポジウムの話を書きました。
その翌日、11月15日(土)には神戸に出かけました。私の所属する「ラテン・アメリカ政経学会」の全国大会に出席するためです。

この学会は、会員数120名ほどのこぢんまりとしたものですが、こちらも今年、50周年を迎えたのです。今回はその記念大会でもありました。全国から会員が自分の研究成果を持ち寄って報告(発表)を行います。それに対しては「討論者」と呼ばれる別の研究者が論評を加えます(前回のシンポジウムで私が担当した役回りがほぼそれに相当します)。会場には、セッションのテーマにもよりますが、数十人の研究者が座っていて、2人のやりとりを聴いています。

報告されるテーマに専門が近い人もそうでない人もいますが、討論者の論評に対する報告者の回答の後、聴いていた会員(「会場」という意味で「フロア」ともいいますが)から質問やコメントが投げかけられます。専門に近い人の質問やコメントは、直接的に報告者の研究に役立つことでしょう。しかし、学会、特に地域研究のような学際的な分野の場合には、専門から多少離れた人からの質問も同様に重要です。同じ問題を扱っていても、専門を異にする人は、それをまったく違った角度から捉えていて、そこから新しい発想の芽が生まれてくることもあるからです。

私にとって一番印象に残ったのは、ラテンアメリカ地域で活動を行ってきた国際協力機構(JICA)の職員・専門家の皆さんをお招きしてのセッションでした。「援助」の現場でいろいろと頭を悩ませ、そしてさまざまな工夫を凝らしながら仕事をされてきた経験を披露していただき、学会の側からは、主に開発経済学を専門とする研究者が、そうした個別の経験の位置づけを試みたり、質問をしたり。そのようにして、異なる立場から日本の援助について、さらにはラテンアメリカ地域に住む人々の生活をよくするにはどうしたいいのかについて意見交換がなされていきます。「政経学会」ですから、政治・経済を中心に社会科学分野の研究者が集まっているわけですが、社会科学の究極の目標が「人間が幸せに住みよい社会で生きていけること」だとするならば、このように社会の最前線で働いている人たちから学ぶことはきわめて多いのです。

金・土・日と「ラテンアメリカ」にどっぷり浸かった週末となりました。

ラテン・アメリカ政経学会ウェブサイト http://www.js3la.jp/

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